国立・9月文楽 第一部

『寿式三番叟』角書きとして「天下泰平 国土安穏」。国立劇場開場45周年記念の一幕。珍しく、住大夫が午前中に登場するのもそのためだが、一方で今夏の節電対応の影響もあるらしい。 住大夫の隣に文字久が座っているのも、何だか感動的であった。人形は、簑…

9月新橋 秀山祭・又五郎襲名 昼の部

今月は吉右衛門一座の秀山祭で、歌昇が三代目又五郎に、種太郎が四代目歌昇を襲名する。演舞場での襲名披露興行は自分は初めての経験。残念ながら、世間的にはあまり盛り上がっていない模様。 『舌出三番叟』染五郎の三番叟、新歌昇の千歳。二人とも、神妙に…

国立・9月文楽 第二部

既に9月を過ぎてこれを記述しているのだが、当月の文楽は、住大夫や簑助出演で人気の一部より、二部の『逆櫓』に尽きた。 『ひらかな盛衰記』「逆櫓」、燕三の激しい撥捌きに圧倒された。床の近くで聴いていたので、余計に迫力があった。切の咲大夫も力技で…

新橋演舞場8月花形歌舞伎 第三部

『宿の月』扇雀、橋之助。夫婦の情愛を描いた田中青滋の舞踊劇とのことだが、観ていて何の面白さも感じなかった。多少『身替座禅』的喜劇要素が入っているが、中途半端。背景画の松葉目も、幹が描かれない松の木で、これも中途半端。 『怪談乳房榎』筋書の上…

新橋8月 一部・二部

第一部 『花魁草』安政の大地震を逃げ延びた役者と女郎が、田舎で一緒に暮らすが、江戸の芝居復興に伴い、役者は江戸に戻り、女郎は身を引く。 今回の東日本大震災に関して、震災後の復興という意味でこの芝居を選んだとのことだが、実際に観てみると、大地…

せともの市2011

8月の第一月曜日からの三日間は人形町のせともの市。 この時期は夏休みを一日とり、市をぶらぶら歩き回ることを慣習としてきたが、今年は多少職場環境も変わったので、様子見で(?)休みは取らず、終業後に立ち寄るだけにした。 1日の月曜日、一回りして…

七月新橋演舞場 昼夜 海老蔵初日

七月の新橋演舞場は、顔を殴られ謹慎していた(と書くと妙だが)、海老蔵の復帰公演。いつものように物見高きマスコミが入り口前にたむろしており、わざわざ観客にもインタビューしている。喧噪を避けつつ、早めに場内へ入る。 昼の部 『鳥居前』右近の狐忠…

六月コクーン歌舞伎『盟三五大切』

今年のコクーンは、勘三郎・福助抜き、菊之助初参加で『盟三五大切』。 自分が最初に観たコクーン歌舞伎がこの『盟三五大切』で、当時の勘九郎が源五兵衛、橋之助が三五郎の時の回だった。もう13年前のことなのか。 再演とはいえ、そこは串田演出のコクーン…

六月新橋演舞場 夜の部

『吹雪峠』 吹雪の中の山小屋という密室で、女を寝取られた男と、寝取った側の男女が偶然出会う心理劇。コキュ側のやくざの兄貴分に染五郎、寝取った男に愛之助、女は孝太郎。切羽詰まった極限状態での人間の愚かさを描くが、今の目から観ると陳腐。真面目な…

六月新橋演舞場 昼の部

『頼朝の死』 染五郎の頼家、時蔵の政子、愛之助の重保、孝太郎の小周防、歌昇の広元。 染五郎の台詞は、低音で平板、言葉の内容と台詞の抑揚に調和がなく、青果の台詞劇としては響いてこない。一方、他の役者の台詞は、言葉の内容に捕らわれすぎて感情表現…

『乱れ雲』

久しぶりの神保町シアター。 今回は、司葉子と芦川いづみ特集という、とてもチャーミングな企画で、特に司葉子の方は是非通いたかったのだが、諸般の事情で、今日のこの一本のみ。 未見の成瀬映画『乱れ雲』。言わずと知れた、成瀬監督の遺作。昭和42年。 米…

『ブラック・スワン』

有楽町マリオン、東宝系。 「ナタリー・ポートマンがバレリーナで白鳥の湖を踊る」ということだけで、観に行った。(動機としては、それで十分。) ところが、主役を完璧に演じなければならない強迫観念から、自分の身体を傷つけたり、妄想にとらわれていく…

五月新橋演舞場 昼夜

昼の部 『敵討天下茶屋聚』 幸四郎が初役で元右衛門と東間の二役に挑む。この二役を一人の役者で演じるのは、天保以来とのこと。更に、いつもの上演形態に加えて前の場も出し、早瀬家が敵討に至る経緯を丁寧に描く。 結果としてわかったのは、この芝居の主役…

前進座5月公演『秋葉権現廻船噺』

国立劇場での前進座5月公演。 『唐茄子屋』 落語が題材の世話物。勘当された放蕩息子が、叔父さんの世話で唐茄子売りとなり、下町長屋の住人の親切に触れて改心する人情噺。放蕩息子に芳三郎、叔父さんに村田吉次郎、叔母さんがいまむらいずみ、長屋の住人…

5月国立・文楽公演 一部・二部

綱大夫改め源大夫、清二郎改め藤蔵襲名興行。 しかしながら、一部・二部ともに空席あり。東京での不思議な文楽人気も、ようやく納まってきたのかもしれない。 第一部 襲名披露興行は、間に口上を挟んで、『源平布引滝』の三段目を上演。 口上は、源大夫、藤…

16年振りの明治座歌舞伎 昼夜通し

都心のアクセスでは自分にとって歌舞伎座以上に至便な明治座での歌舞伎公演は、16年振りだという。これまで舞台機構は整っているのに、松竹直系の劇場ではないためか、あまり歌舞伎が掛からないでいたのが残念であったのだが、これを機に度々上演してほしい…

ひきこもり週間終了

今日も一日家から一歩も出ず。 さすがにいつまでもiPadだけいじっているというわけではなく、読みかけの本なども読み進め、一冊だけ読了。日本の舞踊 (岩波新書)作者: 渡辺保出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1991/06/20メディア: 新書 クリック: 5回この商…

iPad2三昧

昨日は、一日中iPad2をいじり続け、一歩も外出せず。 iPod touchにインストールしていたアプリは400以上あり、touchの上では既に削除していたものも、iTunesの方には残っているため、何度か同期を重ねているうちに、殆ど全てのアプリがiPadにそのまま移され…

iPad2入手

iPod touchは、通勤時の産経新聞、青空文庫で古典、テキストファイル化された浄瑠璃の床本を大夫の語りを聴きながら読む、などということに使って実に重宝しており、携帯サイズとしても理想的であるので、カレンダーや備忘などの手帳機能(これはもう欠かせ…

『こころ』

神保町シアターの今回のテーマは、「華麗なるダメ男たち」。 たぶん、古い日本映画を観ているうちに、誰もが思うことなのだろう、「日本映画の男は、なんでこんなにダメ男ばかりなのか」と。おそらくそれは私小説の影響が大きいと思うのだが、自分も『あらく…

新橋演舞場 四月夜の部

『絵本太功記』「太十」は、「鎌三」と並んで、観ているうちに眠りに落ちてしまう、「居眠り狂言」。今日もまた寝るかなと思っていたが、意外と眠らずに最後まで見届けられた。 といって、面白かったのかというと、実はそうではない。 結局、コクのある義太…

四月新橋演舞場 昼の部

『お江戸みやげ』 三津五郎、翫雀。二人とも田舎訛りが典型すぎるが、芝居としては面白かった。 三津五郎のお辻は、酔って気前が良くなるという変化に、あまり説得力がなかった。翫雀のおゆうは、ややうるさい。 錦之助の役者が、色気があって良い。舞台裏の…

三月新橋演舞場夜の部(2回目)

歌舞伎初観劇者同伴で、夜の部2度目。 『浮舟』最後の一幕から入ったのだが、結局は、この幕だけで十分であったということがわかる。吉右衛門の台詞は、ようやくスムースになっていた。浮舟の寝所に入り込もうと、勢い良く進むが、柱をぐっと掴んで一旦止ま…

三月新橋演舞場 夜の部

震災、計画停電の影響だろう、休日としてはあまり記憶にない程のガラガラ。交通手段を気にしてか、幕間ごとに、人が減っていった。 『浮舟』 北條秀司が『源氏物語』の宇治十帖を題材に創作した、コキュの物語。 菊之助の浮舟、吉右衛門の匂宮、染五郎の薫。…

ボストン美術館浮世絵名品展@山種美術館

三連休の中日、予定していたイベントが大震災と計画停電の影響で中止となり、一方で同じ理由で一時休館していた山種美術館の『ボストン美術館 浮世絵名品展』が再開されたので、そっちに行くことにした。 世の中が急激に自粛ムードとなってきているので、空…

三月国立劇場 仁左衛門の『絵本合法衢』

南北の『絵本合法衢』については、東宝歌舞伎で復活した経緯が、千谷道雄の『幸四郎三国志』や、最近の『演劇界』の記事で紹介されていて興味を持ち、自分も坪内逍遥と渥美清太郎共編の「歌舞伎脚本傑作集」を入手、「予習」して臨んだ。 原作は、登場人物が…

新橋3月歌舞伎 昼の部

歌右衛門十年祭追善興行。今日は昼の部のみ。ガラガラとまではいかないが、空席は目立つ。 『恩讐の彼方に』 久しぶりの虫干し狂言(←造語)。もちろん初見だが、あらすじを読むと、敵討ちの相手と一緒に洞窟を掘るという話で、むかし子供の頃に読んだ記憶が…

なかなか辿り着けない。

天気の良い日曜日。 今日は自転車で上野の東博へ行き、その後アキバ経由で銀座に出て買い物し、最後は床屋に行こうと計画していたのだが、あいにくの東京マラソン。自転車では簡単に規制コースを突破できない。 結局徒歩で行く。(前にも同じことがあった。…

二月テアトル・花形歌舞伎 通し

亀治郎、染五郎による花形歌舞伎。 第一部 『お染の七役』 猿之助バージョンは初めて観るが、序幕の第一場「柳町妙見」で、七役全てを見せるというのが、原作以上の猿之助の工夫らしい。しかし、亀治郎が受け継いで演じる序幕の七役は、何だか精彩に欠け、ど…

人間ドック2011

昨年のうちに申し込み、2月に受けることができた。 年末年始の無節操な飲食で、かなり体重が増加していたので、ここひと月は、特に夕飯を食事制限、飲酒の機会もできるだけ回避し、何とか3キロほど減量。それでも去年に比べてわずかながら増加していた。 …