正月国立劇場

kenboutei2014-01-13

『三千両初春駒曳』
正月恒例の菊五郎劇団復活(新作)狂言。原作は辰岡万作『けいせい青陽鷦』。信長死後の後継者争いを題材にしたもの。
序幕はいきなり高麗の国から始まったので驚いたが、全体的には筋を通すのに精一杯で、話の面白さはあまりなかった。ただ、近年の菊五郎劇団の新作としては、おふざけが少なく、かなり真面目に取り組んだ作品。(それも面白くなかった一因か。)
印象に残った場面は、「阿波座田郎助内の場」で、二階に菊五郎がいて、階下の菊之助松緑が同時に腹を切る場面。国姓爺の紅流しよろしく、血が壁に流れ落ちる演出。
他には、釣天井の仕掛けくらいか。「馬切り」が後世に残った場とされるが、どこに見せ場があるのか、よくわからなかった。
菊之助は高麗の照菊皇女と大工与四郎の二役だが、照菊皇女が日本でいろいろと身をやつすので、何役やっているかわからなくなり混乱した。
松緑も柴田勝重と田郎助の二役。すっかり菊五郎劇団の二枚目立役となった感がある。
菊五郎の信孝は、自由に演じる。役自体も自由人で本来深い役だと思うが、そうならないのは菊五郎の芸質によるものだろう。
時蔵田之助、彦三郎他、ベテランから若手まで万遍なく出番があり、立ち回りもたっぷり、菊五郎劇団の運営力を確認できるお芝居。