国立・9月文楽 第二部

kenboutei2011-09-03

既に9月を過ぎてこれを記述しているのだが、当月の文楽は、住大夫や簑助出演で人気の一部より、二部の『逆櫓』に尽きた。
『ひらかな盛衰記』「逆櫓」、燕三の激しい撥捌きに圧倒された。床の近くで聴いていたので、余計に迫力があった。切の咲大夫も力技で語りきる。個人的にはあまり好きな太夫ではなかったのだが、今の文楽太夫陣の中で、ここまで大音声で無骨に一気呵成に語る太夫は他に思いつかず、ある意味義太夫の原点のようであり、また、やたらと情とか心理描写を語るのがもて囃される昨今の風潮に食傷気味でもあったので、とても新鮮に感じた。
前に「宿屋」と「笹引」がつく。取り替え子の場面があるとやはりわかりやすいし、「逆櫓」における権四郎の心情にも理解が深まる。子供の首をあっさりと刎ねてしまう残酷さも、人形浄瑠璃ならでは。
玉女の樋口は、激しく動くが雑にも感じた。
『紅葉狩』清十郎。最初は三人遣いが皆裃の出遣い。鬼になってからは、清十郎だけ。