正月歌舞伎座 昼夜

kenboutei2014-01-12

昼の部
『時平の七笑』
我當の時平。正月にテレビ中継を見た時より笑い方には元気があった。幕が閉じきり、少し間があって、また笑う。観客も受けて拍手が起こる。
道真は歌六。花道引っ込みは、教え子に囲まれながら。前もそうだっかな。
由次郎の希世、進之介の輝国。

『石切梶原』
幸四郎の梶原。板付きで幕開け。可もなく不可もなく。この前吉右衛門で観たばかりなので、新鮮味はない。橋之助の大庭(初役?)、錦之助の股野。東蔵の六郎太夫が安定。梢は福助休演で高麗蔵。

『松浦の太鼓』
吉右衛門の松浦侯。今回は、いつも以上に軽い感じ。特に山鹿流の陣太鼓を聞く時の、「あっ」と声を出すところの変わり様。声のトーンも割合高く、軽妙。客受けする芝居ともいえるか。歌六の其角、梅玉の大高源吾。米吉がこの座組では抜擢ともいえる、お縫。まずは無難にこなしていた。浅草よりこちらの方が勉強になるのではないか。

『鴛鴦』
魁春の喜瀬川、橋之助の股野五郎、染五郎の河津三郎。過去にも観たことあるが、相撲に関連するものであったのは忘れていた。歌右衛門「莟会」伝説の舞踊でもあるが、今の時代で面白いかというと、疑問。
 
夜の部
『九段目』
藤十郎の戸無瀬、魁春のお石、扇雀の小浪、幸四郎の本蔵、吉右衛門の由良助、梅玉の力弥。
大顔合わせで、しかも傑作に仕上がっていた。意外なことに幸四郎が良かった。台詞にいつもの余計な感情注入がなく、義太夫狂言の形が崩れなかった。あの嫌な「きゃーるの子はきゃーる」もちゃんと「カエルの子はカエル」と言っていたので驚いた。
藤十郎の戸無瀬は、圧倒的な存在感。
これに魁春のお石が互角に戦う。独特の冷たさが、このお石の魅力。冷たい表情の裏にどんな思いがあるのか、想像を駆り立てさせる魅力があった。
扇雀の小浪は初めて観る。発声で世話に下る癖が気になるが、この座組に負けない手強さがあり、藤十郎と一緒だと丸本歌舞伎の面白さが堪能できる。
これに吉右衛門梅玉が揃い、さすがの大歌舞伎。お見事。
 
『乗合船』
梅玉の萬歳、又五郎の才蔵、ほか翫雀弥十郎、孝太郎、橋之助、児太郎、扇雀など。
・・・誰も楽しそうに見えない。

東慶寺花だより
井上ひさしの原作を歌舞伎化。新作。染五郎主演。染五郎はもともと新作との親和性があるので、この芝居でもイキイキしている。ただ観ている方が面白いかというとそうでもない。
秀太郎翫雀夫婦が面白い。特に秀太郎