2月歌舞伎座 昼・夜

kenboutei2014-02-09

昼の部
『心謎解色糸』通し
花形役者での南北通し。良い企画。
お祭左七と半時九郎兵衛の二役を染五郎、本庄綱五郎を松緑、芸者小糸に菊之助七之助が糸屋の娘お房と九郎兵衛女房お時の二役。松也の山住五平太、米吉の芸者小せん、萬太郎の廻し男儀助など。他に松江、歌昇、高麗蔵、男女蔵歌六秀太郎ら。
歌舞伎座では初めての上演とのことだが、コンパクトにまとめ、また現代の観客にもわかりやすく仕上がっていた。これなら今後再演、再々演も可能だろう。
中でも良かったのは、七之助。お房が棺桶から甦った後の「恥ずかしいわいなぁ」の台詞は、実に色気があって、これまでの七之助にはないものであり驚いた。
菊之助は、この座組では完全に立女形の風格。ずっと安心して観ていられた。
染五郎の二役も早替りで観客を沸かす。
團十郎勘三郎亡き後、菊五郎幸四郎吉右衛門ら看板役者の高齢化も進んでいる中、気がつけばその子供世代がしっかり成長していたことに、多少、歌舞伎のこれからに希望を見出せた感じがした。
 
夜の部
『弁天小僧』通し。
夜は昼と同じ座組で黙阿弥の通し。これも良い企画。
菊之助の弁天は、これまで観た中では、襲名時以来の良い出来。自家薬篭中といったところか。大詰の立ち回りは、最近菊五郎のハラハラする動きを観てきたので(これもまた実は絶品なのだが)、若さ溢れる弁天に、こちらも高揚した。弁天役者の世代交代は確実に成立した感がある。
染五郎の日本駄右衛門は、ニンとしては迫力不足。この座組では松緑の役なのかもしれない。個人的には亀三郎が担ってほしいところだが。その亀三郎の忠信は、声の良さが一際目立ち素敵であった。鳶頭清次の亀寿ともども、もっと活躍の場を与えてあげたいものだ。
松緑の南郷、七之助の赤星。
團蔵の浜松屋幸兵衛、右之助の局柵が、ベテランらしい滋味。