映画

『不壊の白珠』

神保町シアターのサイレント特集で、清水宏監督の『不壊の白珠』を観る。今回もピアノ伴奏付きで1,500円。 「ふえのしらたま」と読む。何とも古風で雅なネーミング。こんな言葉、今の時代にはなかなか出てこないだろう。英語のタイトルは、「Eternal Heart」…

『麗人』

神保町シアターで『麗人』を観る。サイレント映画の特集で、ピアノ伴奏付き。そのせいか、料金は1,500円。 島津保次郎監督、栗島すみ子主演。昭和5年の作。 栗島すみ子は、男に無理矢理処女を奪われ、生まれた子供は田舎の兄に預け、娼婦的生活で生き抜きな…

『J・エドガー』

有楽町マリオン、ピカデリーでクリント・イーストウッドの新作『J・エドガー』を観る。 前作の『ヒア アフター』は、震災の影響で途中で上映取り止めとなってしまい、見逃していたので、イーストウッドの新作は『インビクタス』以来。 FBIの元長官、ジョン…

『乱れ雲』

久しぶりの神保町シアター。 今回は、司葉子と芦川いづみ特集という、とてもチャーミングな企画で、特に司葉子の方は是非通いたかったのだが、諸般の事情で、今日のこの一本のみ。 未見の成瀬映画『乱れ雲』。言わずと知れた、成瀬監督の遺作。昭和42年。 米…

『ブラック・スワン』

有楽町マリオン、東宝系。 「ナタリー・ポートマンがバレリーナで白鳥の湖を踊る」ということだけで、観に行った。(動機としては、それで十分。) ところが、主役を完璧に演じなければならない強迫観念から、自分の身体を傷つけたり、妄想にとらわれていく…

『こころ』

神保町シアターの今回のテーマは、「華麗なるダメ男たち」。 たぶん、古い日本映画を観ているうちに、誰もが思うことなのだろう、「日本映画の男は、なんでこんなにダメ男ばかりなのか」と。おそらくそれは私小説の影響が大きいと思うのだが、自分も『あらく…

『白日夢』

神保町シアターの今回のテーマは「文豪と女優とエロスの風景」。にっかつロマンポルノもラインナップに入っている。 ちょうど評伝も読んだところだったので、武智鉄二の、あの『白日夢』を観る。(何と良いタイミングか。) 自分の年代では、愛染恭子と佐藤…

『恋すれど恋すれど物語』

神保町シアターの喜劇特集。昭和31年、斎藤寅次郎監督。(今週は斎藤監督の喜劇特集となっているようだ。) 有島一郎、三木のり平、エノケン、ロッパ、金語楼、アチャコ、トニー谷に加えて、大河内傳次郎、益田キートン、浪花千栄子や清川虹子、さらに雪村い…

『続 雲の上団五郎一座』

神保町シアターで。先日観た『雲の上団五郎一座』の続編。昭和38年、青柳信雄監督。 前作に引き続き、快調。今回は劇中劇だけでなく、三木のり平、八波むと志コンビのそれぞれの恋人(嵯峨三智子、原知佐子)とのエピソードや座主の息子・江原達怡、近所のラ…

『極楽大一座 アチャラカ大当り』

神保町シアターの喜劇特集。 「エノケン・ロッパ・金語楼の喜劇人協会による『アチャラカ誕生』の続編」と、プログラムには紹介してあった。 『アチャラカ誕生』の方は未見だが、まあ続編から観ても全く支障はなく楽しめる。昭和31年、小田基義監督。 女衒に…

『雲の上団五郎一座』

久しぶりの神保町シアター。 「雲の上団五郎一座」は、東宝の喜劇で、不入りの時はこの芝居をかけておけば客が来た、という話を以前聞いたことがあり(確か菊田一夫入魂の『敦煌』でコケて、替わりに『雲の上団五郎一座』をかけて大入りとなったとか)、名前…

『宗方姉妹』

年始の小津映画。 今回は、高峰秀子追悼の意味も含めて、『宗方姉妹』を選択。「むねかたきょうだい」と読むらしい。 小津が松竹以外で初めて撮った、新東宝の映画。子役の頃を除けば、高峰秀子にとっては、唯一の小津作品。昭和25年作。 タイトルロールの宗…

『温泉女医』

再び神保町シアターの若尾特集。タイトルに惹かれて足を運ぶ。 『温泉女医』。どんな女医なんだ。大映の「温泉シリーズ」第5作目とかで、当時は「温泉」という言葉に、何を想像していたのだろう。 場末の温泉宿に赴任してくる新人の女医が若尾文子。 菅井一…

『女が愛して憎むとき』

神保町シアターの若尾文子特集の初日。昭和38年、大映、富本壮吉監督。 先日観た『女が階段を上る時』と同じ、バーのママ物語。なんと脚本も同じ菊島隆三。「妾映画」同様、「バーのママ映画」という、日本映画の一つのジャンルですな。どちらも、男の都合の…

『女が階段を上る時』

神保町シアター。成瀬・高峰コンビ。昭和35年。 菊島隆三脚本で、銀座の夜の世界の生態を描く。 高峰秀子のバーのママに群がる男たちは、言ってみれば『あらくれ』同様、ダメ男列伝。酒も飲めずに店に通い、高峰秀子が病気になると佃島の実家にまで見舞いに…

『瞳の奥の秘密』

銀座へ出て、ぽっかり時間が空いたので日比谷のシャンテへ。 割合と批評家の評判も高い、アルゼンチンとスペインの合作映画『瞳の奥の秘密』を観る。 舞台はアルゼンチン。定年退職した裁判官(刑事の役割も兼ねていたようだ)が、過去に取り扱った殺人事件…

『東京おにぎり娘』

神保町シアター。田中重雄監督、若尾文子主演の『東京おにぎり娘』を観る。 まず、タイトルが素晴らしい。「東京おにぎり娘」。 昔から、映画や芸能界には「◯◯娘」は多く、「かしまし娘」やら「青空娘」やら「ジャンケン娘」、近いところでは「モーニング娘…

『泣き濡れた春の女よ』

神保町シアター、「映画と酒場と男と女」というテーマで、清水宏監督の『泣き濡れた春の女よ』を観る。昭和8年。 北海道の炭坑で働く労務者と酒場の女性の恋を描く。女を巡っての男同士の喧嘩、年増のバーのマダムと若い純朴な女給の恋の鞘当てと、まあ、今…

『次郎物語』

神保町シアターの子供特集。清水宏監督の『次郎物語』。昭和30年、新東宝。 乳母の家で育てられた次郎が、実家に戻り、実母と、その死後に来た継母に馴染むまでの物語。 乳母が望月優子、実母が花井蘭子、継母は木暮実千代。次郎役は成長に従いダブルキャス…

『インセプション』

有楽町マリオンで、話題の『インセプション』を観る。 あの『ダークナイト』のクリストファー・ノーラン監督の新作ということで、期待も高かったが、その期待通りの面白さだった。 夢の中に入り込んで刷り込みやアイデア・思考を盗む稼業というのは、SF小説…

『その後の蜂の巣の子供たち』

神保町シアター。先日観た『蜂の巣の子供たち』の続編。 続編ではあるのだが、物語の続編ではなく、『蜂の巣』の映画に出演したという事実を踏まえての、その浮浪児(蜂の巣の子)たちに関する続編という、不思議な半ドキュメンタリー。 だから冒頭に、前作…

『しいのみ学園』

昨日、『蜂の巣の子供たち』に続いて、神保町シアターで観る。これも清水宏監督。香川京子が出演。昭和30年。 大学教授の息子二人が二人とも小児麻痺となり、学校でのいじめもあることから、自分達で私財を投じて小児麻痺の子を集めた学校を設立、そこでの教…

『蜂の巣の子供たち』

神保町シアターの子供特集。監督の清水宏に惹かれて観に行く。(そういえば、DVDボックスの方は、まだ一本も観ていないなあ。) 敗戦で引き上げてきた一人の復員兵と、戦災浮浪児たちとの交流を描く、ロードムービー。 映画の冒頭、いきなり、「この子たちに…

『宮城野』

横浜みなとみらいの、ブリリアショートショートシアターなるところで、『宮城野』を観る。 以前、浮世絵に関連して、教えてもらった映画だが、上映機会が限られているようで、なかなか観れないでいたもの。たまたまネットで今回の特集(出演している若手女優…

アキバ・リバティ

会社から徒歩でアキバまで行き、リバティでDVDを買う。(最近は映画自体は劇場でよく観るようになった分、DVDは殆ど観ていないのだが・・・)コンフェッション [DVD]出版社/メーカー: 東宝発売日: 2004/02/27メディア: DVD クリック: 11回この商品を含むブロ…

『浮雲』

会社帰り、銀座シネパトス。成瀬巳喜男で最も有名な作、『浮雲』をようやく観る。 傑作であることに異論を挟む余地はない。最初から最後まで、緻密な映像空間に、くらくらする思いであった。 しかし、暗いんだよなあ。 ダメ男とダメ女の、エンドレスな道行映…

『第9地区』

有楽町マリオンで、『第9地区』を観る。 南アフリカのヨハネスブルクに宇宙船が飛来、中には宇宙人がおり、彼らと慎重に接触するため、その地域を隔離して「第9地区」とする・・・。映画の予告編でのあらましは、そんな感じで、これをドキュメンタリー・タ…

『二十四の瞳』

京橋フィルムセンター。2日に鑑賞。 極めて有名な映画だが、全くの初見。 僻地の島での先生と子供たちの交流、といった程度の知識しかなく、やたら名作とか感動作とかの評価が定着していることが、むしろこれまで観る気を起こさせなかった。(そういう映画…

『ファンボーイズ』

『スター・ウォーズ』の熱狂的ファンの若者たち(要するにオタクだ。)が、公開前の「エピソード1」観たさに、カリフォルニアにあるルーカスのスカイウォーカーランチに忍び込む、一種のロードムービー。 アメリカ国内だけの公開だったのが、日本の一ファン…

ピンクタイツの衝撃〜『踊りたい夜』

♬ピンク、ピンク、ピンク。 ♬ピンクタイツ〜。 ♬ピンク、ピンク、ピンク。 ♬タイツはピンク〜。 ♬ピンク! (ウッフーン♡) ♬ピンク! (アッハーン♥) ・・・これは、キャバレーのショータイムで、水谷良重、倍賞千恵子、鰐淵晴子の三姉妹のショーガール、…