ボストン美術館浮世絵名品展@山種美術館

kenboutei2011-03-20

三連休の中日、予定していたイベントが大震災と計画停電の影響で中止となり、一方で同じ理由で一時休館していた山種美術館『ボストン美術館 浮世絵名品展』が再開されたので、そっちに行くことにした。
世の中が急激に自粛ムードとなってきているので、空いているのではないかと思っていたら、全く逆で、とても混んでいた。まあ、そんなものか。
ボストン美術館所蔵の浮世絵展示としては、2年程前の江戸博に続いて第二弾。
浮世絵の黄金期と言われる(らしい)、天明・寛政期を取り上げているが、結局は清長・歌麿写楽という人気絵師中心の展示。
図録に掲載されている、ボストン美術館の浮世絵版画室長(素敵な職名だ。)によると、西洋での浮世絵評価は、清長が頂点(フェノロサなど)だったという。そうだったのか。
最初の展示ブースが清長で、殆どの観客は律儀に展示順に観ようとするので、混雑極まりなく、他のブースを先に観てから戻ってもやっぱり混んでいて、清長をじっくり観るのは苦労したが、展示の中では、五代目團十郎、三代目宗十郎、中山富三郎による『四の切』が、保存状態が最高で、息を飲む美しさであった。

他には、宗十郎、菊之丞らの舞踊劇の背後に常磐津の出語りが描かれている図で、そこに先日顔を認識した豊前太夫(馬づら豊前!)を再び発見したのが、嬉しかった。

ボストン美術館のサイトに掲載している清長の絵には、出語りが描かれているのは結構あり、馬づら豊前も頻繁に出ている。やっぱり人気があったんだな。(あんな顔の大首絵が売られるだけのニーズはあったのだということを、ようやく納得した。)

最近は歌麿にもようやく興味を持つようになったのだが、今回、気になった絵は、美人絵ではなく、七代目片岡仁左衛門を描いた役者絵。図録の解説によると、都座での『帰花雪義経』の由利八郎とあり、3枚続きの一枚で、残りはスポルティング・コレクションなので、外に出せなかったとのこと。サイトで探すと、あった。

左が山下金作、右が野塩。・・・どんな芝居だったんだろうなあ。
仁左衛門の由利八郎は、春英も描いていた。(これもスポルディング

写楽のブースは、あっさりと観て終わる。(こんど大々的な展示があるしね。)
同時代の春章、栄之、豊国などは、展示自体があっさり。(まあ、いつものことだ。)
江戸博の時より小規模のような気がしたが、清長や歌麿の校合摺があったり、相変わらず保存状態の良い絵ばかりで、さすがのボストン美術館ではあった。