映画

『綴方教室』

神保町シアターは今日から高峰秀子特集。映画館限定発売のシアター叢書『女優・高峰秀子』を買うと、今回特集のポスターをくれた。 今日は山本嘉次郎監督の『綴方教室』を観る。 タイトルが右から左に動的に流れて紹介され、更に原作者の豊田正子、出演者の…

『モスラ』

ディアゴスティーニで発売している、東宝特撮映画DVDコレクションから、『モスラ』の巻を購入(1,990円)し、観る。(過去の経験から、ディアゴスティーニの商法に対抗するには、欲しいものだけつまみ食いするのが一番だ。) 昭和36年公開で、『モスラ対ゴジ…

『斜陽のおもかげ』

神保町。斎藤光正監督『斜陽のおもかげ』。昭和42年の日活映画。 太宰治『斜陽』のモデルとなった女性と太宰との間に生まれた娘による手記を映画化。といっても、自分はその手記はおろか、『斜陽』すら読んでいないのだが。 娘は吉永小百合、その母親(すな…

『台所太平記』

神保町シアター。谷崎潤一郎の原作は、谷崎としては劇的なものでもなく、極めて地味な印象があったので、これをどう映画化しているのか、とても興味があった。昭和38年作、豊田四郎監督。 地味な作品だけに、出てくる役者陣も地味。(何しろ、女中の話だし。…

『娘と私』

神保町シアターで、『娘と私』を観る。堀川弘通監督、昭和37年。 今回の神保町シアターのテーマは、「日本文芸散歩」。文学が原作の映画特集。特に作家が前面に出ている、私小説の映画化が中心のようだが、自分の経験からすると、この手の映画は、往々にして…

『暖簾』

池袋の新文芸座での山崎豊子特集から、川島雄三監督の『暖簾』を観る。昭和33年作。 朝靄の中、堅牢な橋が映し出され、そこを馬が駆け抜けていく。同じ橋の上に今度は商人風の男がひょこひょこと歩き、その後ろから小僧が追いてくる。商人は、小僧を巻こうと…

『遠い雲』

毎度お馴染み、神保町シアター。今やっているのは、「思ひ出は列車に乗って」というキャッチコピーの、川本三郎編による鉄道映画紀行。列車をキーワードとしたアンソロジー。別に自分は鉄道オタクではないが、こういう企画は好きだ。(選ぶのも楽しいだろう…

『柔らかい肌』

神保町シアター、トリュフォー特集3本目、『柔らかい肌』。(本当は同じ日に3本観ている。) 著名な文芸評論家と若いスチュワーデスの不倫の物語。 今回初めて観るが、これは若い時期に観たとしても、なかなか理解できなかっただろうなあ。 どんなに社会的…

『ピアニストを撃て』

神保町シアター、トリュフォー特集。『ピアニストを撃て』。1960年の作品。 冒頭、追われている男からのショットで、ヒッチコック・タッチでわくわくするのだが、倒れた際に助けられた男と歩きながら交わす会話は、結婚生活の愚痴のような暢気なもので、別れ…

『あこがれ』

昔の日本映画専門かと思っていた神保町シアターが、突然、トリュフォー特集。こういう企画も嬉しい。さすがに、客層は今までとは少し違っていた。 『あこがれ』は、トリュフォーの20分程度の短編。実質的なデビュー作とか。 一人の魅惑的な若い女性を子供の…

『ひき逃げ』

神保町シアターの成瀬特集で、『ひき逃げ』。昭和41年作。 自動車(二輪車)メーカーの重役の妻が、不倫中の男とドライブしている時に、道路に飛び出した子供を誤って轢いてしまうが、動揺してそのまま逃走。帰宅後、不倫相手のことは伏せ、子供を轢いたこと…

『晩菊』

神保町シアター、成瀬の『晩菊』。昭和29年作。 元芸者で、今は金貸しとなっている杉村春子が主演(!)。かつての芸者仲間にも金を貸しては集金時にイヤミを言う嫌われ役。昔好意を寄せていた上原謙が訪ねてきて、心が浮き立つものの、結局は金目当てだとい…

『はたらく一家』

神保町シアター。成瀬監督の『はたらく一家』。昭和14年作。 昭和10年代の不景気で、働いても楽にならない一家の暮らしを描く。 朝の食卓は、まず仕事に出る父親、長男、次男、三男から始まる。それが済むと、次は小学校に通っている四男に、まだ幼児の五男…

『夜の流れ』

神保町。『夜の流れ』は、成瀬巳喜男と川島雄三の共同監督作品。昭和35年。 芸者置屋と料亭を舞台にした花柳映画。 冒頭、シネスコワイドのカラー画面に、司葉子と白川由美の水着姿からはじまり、さらに芸者衆の草笛光子、水谷良重、星由里子らも水着でぞろ…

『女の歴史』

成瀬巳喜男の『女の歴史』。昭和38年。 『あらくれ』に匹敵する、高峰秀子の一代記。ただ、今回は、高峰秀子だけでなく、義母の賀原夏子、息子の嫁となる星由里子も加えた女性三代に渡る物語となっている。戦争を挟み、運命に翻弄される女性を描く、骨太の作…

『舞姫』

神保町シアターの成瀬特集、今回は川端康成原作の『舞姫』。昭和26年。 学者の山村聰とバレエの先生の高峰三枝子夫婦は仮面夫婦。妻の高峰三枝子には20年来の心の恋人、二本柳寛がいる。そのことを山村聰だけでなく、長女も長男も知っていながら、四人家族は…

『噂の娘』

神保町シアターで『噂の娘』。『妻よ薔薇のやうに』に引き続き、千葉早智子主演の昭和10年作。そして、この映画でもまたまた妾が登場する、お妾映画。 傾きかけた老舗の酒屋が舞台。店の切り盛りは長女の千葉早智子が中心。父親は妻に先立たれ、妾との間に次…

『妻よ薔薇のやうに』

成瀬監督の戦前映画、『妻よ薔薇のやうに』を観る。昭和10年作。神保町シアター。 オープニングのタイトルロゴでは、『二人妻』と大きく出ていて、『妻よ〜』は、その下につつましく書かれていた。 「二人妻」とは、要するに東京の本妻と、田舎に別に二号が…

『夫婦』

神保町シアター、成瀬監督の『夫婦』。昭和28年の映画。 上原謙と杉葉子の夫婦が、上原謙の同僚で、妻と死別し男やもめとなった三国連太郎の家に同居して生じる、微妙な三角関係を描く。フランス映画なら、ドロドロの深みに嵌っていきそうな設定なのだが、成…

『秋立ちぬ』

神保町、成瀬特集。昭和35年の『秋立ちぬ』。 父親が死んで、東京・築地の親戚の家に預けられた男の子、大沢健三郎が主人公。一緒に上京した母親の乙羽信子は、近所の旅館で女給をすることとなったが、客の加東大介とできて失踪してしまう。その旅館には大沢…

『くちづけ』

神保町シアター。 成瀬巳喜男が共同プロデュースとして参画した、オムニバス映画。三部構成で、全て石坂洋次郎原作。 第一話が筧正典監督の『くちづけ』、第二話が鈴木英夫監督の『霧の中の少女』、そして第三話が成瀬監督の『女同士』。 『くちづけ』は、青…

『まごころ』

成瀬監督の戦前作品(昭和14年)、『まごころ』を観る。神保町シアター。 二人の女の子、富子と信子の交流と、その親同士の物語。 富子の母親が入江たか子で、以前、信子の父親、高田稔と恋仲になるが、高田稔の出世のために身を引き、高田稔は学資を援助し…

『コタンの口笛』

以前の神保町シアターでの森雅之特集で、見逃していた、『コタンの口笛』。成瀬監督、昭和34年の作。 和人の差別に苦しみながらも健気に暮らす、アイヌの姉弟とその周囲の人々を描く。 製作が田中友幸で、音楽が伊福部昭、出演者も土屋嘉男、水野久美、宝田…

『杏っ子』

神保町、成瀬監督の『杏っ子』。昭和33年。 香川京子が主演で、このタイトル、ほのぼのとした感じの映画を想像していたが、見事に裏切られた。 大作家の娘を妻にした男が、売れない小説を書いてはクダをまき続ける、成瀬得意の(?)ダメ男映画。(今回は一…

『妻の心』

神保町。成瀬の『妻の心』。昭和31年作。 地方の老舗の薬屋が舞台。長男の千秋実は家を飛び出したため、次男夫婦の小林桂樹と高峰秀子がその薬屋を継いでいる。二人は店の空き地に喫茶店を作る計画を立て、その金策や準備に奔走している。そんなところに失業…

『女の座』

神保町シアター、成瀬巳喜男『女の座』。昭和37年作。 いわば東宝版の『東京物語』ともいえるこの映画は、16大スター競演という豪華バージョン。 老夫婦は笠智衆と杉村春子。但し、杉村春子は後妻。 先妻の長女が三益愛子で、その夫に加東大介。次女が草笛光…

『女人哀愁』

神保町シアター。成瀬監督の昭和12年作。 見合い結婚で嫁いだ家で、家政婦のように扱われる嫁が、義理の姉の恋愛騒動を機に、夫に逆らい、家を出て行く。 NHKの朝ドラ『純情きらり』で、次女の井川遥が最初に結婚した時のような状況になるわけだが、妹の…

『乙女ごころ三人姉妹』

神保町シアター、本日二本目。 成瀬の初のトーキー。昭和10年。 タイトルからすると、女三人姉妹の純情な恋愛話のようなものを想像するが、母親の命令で三味線の門付で働かされている真ん中の娘を中心にした、暗いお話。原作は川端康成の『浅草の姉妹』。 三…

『座頭市物語』

昨日観た映画。神保町シアターで『驟雨』を観た後、京橋のフィルムセンターで。地下鉄の乗り継ぎが、案外不便であった。(京橋駅で降りてからも、方角を間違えた。) 勝新太郎の座頭市シリーズ第一作、自分もこのシリーズを観るのは初めて。三隅研次監督。 …

『驟雨』

神保町シアターの成瀬特集。今日は『驟雨』を観る。『驟雨』というと、どうしても吉行淳之介の短編を思い浮かべるが、それとは全く無関係。 以前、BSで放送されていたのを断片的に観たことがあり、原節子が立ちながらお茶漬けを食べる場面や、ラストに夫婦で…