『女人哀愁』

神保町シアター。成瀬監督の昭和12年作。
見合い結婚で嫁いだ家で、家政婦のように扱われる嫁が、義理の姉の恋愛騒動を機に、夫に逆らい、家を出て行く。
NHKの朝ドラ『純情きらり』で、次女の井川遥が最初に結婚した時のような状況になるわけだが、妹の宮崎あおい達の支援があった井川遥とは違って、主演の入江たか子は、自分一人の決断で、離縁するのであった。
弱々しいイメージのある入江たか子が、胸の奥に強い意志を秘めた女性を演じていたのが意外。しかしその切れ長で澄んだ眼差しが、とても印象深かった。
入江以外の女性にあまり魅力がなく、嫁ぎ先の男の子が、ちょっと可愛かった程度。
脚本も成瀬だが、台詞が硬く、最後の入江の台詞などは、何だかプロパガンダのようだった。
古い少女漫画を読んでいるような感じ。(まあ、こういう映画に漫画の方が影響を受けたのだろうが。)
銀座のビルの屋上から見える、大きな建物は、帝劇だったのかな。