12月国立・文楽

kenboutei2010-12-12

『由良湊千軒長者』いわゆる「安寿と厨子王」なのだが、上演された「山の段」は、山椒太夫も登場せず、ただ安寿と厨子王が、浜辺でお互いの苦労を嘆くだけの場。人形にも床にも見所、聞き所はなかった。若手の稽古を見せられたようなもの。
『本朝廿四孝』「桔梗原の段」「景勝下駄の段」「勘助住家の段」。面白かったのは、「勘助住家」の前半。津駒、富助の床に迫力があった。特に津駒は、苦手の(?)低音が出るようになり、深みが増した。汗だく、涎ダラダラという、典型的な太夫姿(←褒め言葉)で頑張っていたが、さすがに後半はバテていた。後の文字久は、今日は不調だった。人形では清十郎のお種が良かった。子供を殺された母親の心情が、人形から伝わってくるようだった。勘十郎の慈悲蔵、和生の母親。横蔵を遣う玉女は、モタモタ感あり。