演博・中村歌右衛門展

早稲田の演劇博物館で開催中の、「六世中村歌右衛門展」へ。
今年のテーマは、京鹿子娘道成寺
舞台のテープが流れる中、歌右衛門道成寺に関する小道具や写真、ポスターなど展示。
割合に小じんまりとした企画展示だったが、中では、卵の殻の裏側に歌右衛門の花子の姿を描いて、それを覗き込むような仕掛けにした「飾り物」が、ユニークであった。
歌右衛門道成寺を演じた年譜もパネルで表示してあったが、これを見ると、30代、40代はほぼ毎年勤めていたものが、50代、60代と年を経るにつれ激減し、71歳で一世一代で勤めた最後の道成寺芝翫との「二人道成寺」だったが)は、実に10年振りの花子であったことに、この大曲が歌右衛門にとって、いかに重いものだったのかを改めて感じた。
二階、三階の演劇の歴史を辿る常設展示の中の、現代劇の部屋で、三島由紀夫が外遊先で歌右衛門に送った絵葉書があって、その書面で、三島が現地でグレタ・ガルボに会い、ガルボ歌右衛門のことばかり喋って、別れ際に三島の頬に口づけし、「これを必ず歌右衛門に渡してくれ」と頼まれたということが書いてあり、何とも微笑ましいエピソード。(企画展の方には、ガルボの有名な電報「LOVE,LOVE,LOVE」もあった。)
常設展の方も、訪れる度に新発見があり、観ていて飽きない。能面を実際につけることのできるコーナーがあって、ちょっとつけてみた。よく言われている通り、目のところの穴は極めて小さく、視界の狭さを実感できた。
閲覧室にも寄ったりして、結局3時間以上費やした。