国立劇場十二月「乳貰い」「勧進帳」

kenboutei2004-12-05

国立劇場幸四郎一座での公演。役者の顔ぶれだけみると地方巡業のような貧弱さだったので、先月同様、入りは悪いだろうと思って、当日電話予約してみたら、特別席が2席しか空いていないという状況だった。会場へ着くと補助席が出る盛況振り。よくわかりません。
「花雪恋手鑑」。染五郎が奮闘。上方の喜劇狂言ということで、くだらなくて阿呆らしいが、まあ面白かった。染五郎は、上方和事に必要な柔らかみが決定的にかけているので、ニンにないと思うのだが、自らがこの芝居を復活させたという意欲と一生懸命さは伝わった。時々リアクションが現代劇調になるのが、喜劇とはいえ、気になった。筋書きの解説などでは、上方の狂言であることを随分と強調していたが、菊五郎劇団の世話物ドタバタとそれほど区別がつくものではなかったと思う。上方を意識させるのなら、やはり鴈治郎仁左衛門を使うべき。多分、その方がもっと面白くなっただろう。(延若の芝居がどんなものだったのか、興味深い)染五郎がいくら頑張っても、演目と役者のミスマッチは否めないといったところか。
ただ、かつてはその不謹慎な内容で上演禁止にもなったという芝居を国立劇場が取り上げたということは、十分意義があることだ。この調子で、「三人片輪」なども是非取り上げてほしいものだ。
勧進帳」。またかの幸四郎。何だか老成した弁慶だった。山伏問答で、幾分笑いながら答えるのは正しいやり方なのか。富樫を馬鹿にしているような感じに見えた。その富樫は息子の染五郎。決まり決まりの形が非常に悪い。芝雀義経幸四郎弁慶に気後れしており、極めてバランスの悪い勧進帳だった。亀三郎の駿河が、口跡良く、唯一の収穫(最近、気に入っている。)。