三月新橋演舞場 夜の部

kenboutei2012-03-25

一体誰が観に行くのかという程の演目立てだが、惰性で行ってしまいました。
『佐倉義民伝』貧乏くさい芝居で嫌いなのだが、平成10年以降、コクーンを含めると今回で5回目の上演。それだけ世の中が不況だからなのだろう。(バブル期前後には一度も上演されていない。)
幸四郎の宗吾は、貧乏臭さの点からいうと、一番ニンに合っている。吹雪の中、渡し守の小屋に辿り着くまでの大仰な一人芝居も、この世界では違和感はない。まあしかし、それが面白いかどうかは別問題。こっちは白けて観ているけれど、幸四郎自身は、結構熱が入っている。客と舞台の温度差がこれ程ある芝居は、同じ幸四郎の『筆幸』以来。
渡し守甚兵衛は左團次。幻の長吉に梅玉
彦三郎の松平伊豆守が、立派。
『唐相撲』初めて観る。菊五郎劇団の遺産の虫干し。日本の力士が中国に行って皇帝らと相撲を取るという狂言松緑が歌舞伎化したとのこと。背景の松葉目も唐絵風なタッチ。
菊五郎が日本の力士。左團次が中国の皇帝。團蔵が行司役ではっけよいの代わりに「ニュ〜、チョイ」と言うのが面白い。
『小さん金五郎』これも初めて。金五郎に梅玉、小さんに時蔵、お鶴に秀太郎
上方の芝居だが、上方の匂いは秀太郎にしかなく、梅玉の金五郎は、江戸なのか上方なのか相変わらず国籍不明で、芝居自体も気の抜けた喜劇。仁左衛門の金五郎、秀太郎の小さんで観ると、相当印象は違うではないだろうか。
梅玉染五郎とともに、一時期上方芝居に力を入れていたが、似合わないことはしない方が良い。最後は時蔵と一緒に観客に挨拶しながら引っ込むが、愛嬌不足は如何ともし難い。