1月平成中村座 昼の部

kenboutei2012-01-08

ケータイからチケット注文、座席を確認せずに行ったら、花道外枠だった。ドブから芝居を観るのは、多分初めて。(歌舞伎座で2階西側から観たことはあったな。)まあ、この小屋は舞台幅がないので、それほど遠い感じはしなかったが。
『鳥居前』新橋と掛け持ちの梅枝(中村座の昼の部最初に出て、新橋へ行き昼の部の加賀鳶に出演、また戻って夜の部の最後に出ている。ご苦労。)の静御前が、なかなか雰囲気があって良い。若手にしては堂々の赤姫、立派な静であった。弟の萬太郎の義経の方は、まだ子供っぽい。
獅童の忠信。隈取は古怪だが、顔が小さく荒事役としてはアンバランス。動きは丁寧。しかしそれがどこか鑑賞教室的な凡庸さにつながっていたようだ。
立ち回りの人文字で2012年などを作る、お正月演出あり。竹本がひどい出来であった。
『身替座禅』勘三郎。演目が演目だけに、夜の部の『対面』よりは活き活き。酔って帰るところがさすがの見せ場だが、花道七三で、いつもの右京とは違う、ちょっと不思議な動きをしていた。決して最高の出来とは思われないが、勘三郎の右京を楽しそうに観ている観客の笑顔が(ドブ側からだと、結構周囲の客が見える)、とても印象的で、勘三郎よりも、客の笑顔を観ることで、自分も楽しい気分になった。(確かに、客からパワーをもらうという役者の発言がわかるような気がした。)
彌十郎玉の井獅童の太郎冠者。
『直侍』橋之助の直次郎、七之助の三千歳。
何だか退屈な一幕だった。橋之助は平凡。七之助の三千歳は、出てきた時に「一日逢わねば千日の」という感情の高ぶりがまるで感じられない。ただ戸を開けて、キョロキョロしているうちに直次郎を見つけた、といった感じだった。風情がない。
丈賀に亀蔵。蕎麦を食べるのは橋之助よりうまい。
澤村國矢が暗闇の丑松。平成中村座では、ずっと目立つ役。不遇の紀伊国屋一門の中で珍しい。