正月・平成中村座 夜の部

kenboutei2012-01-03

三ヶ月目に突入の平成中村座。今日は夜の部を観る。座椅子になった桟敷席にて。
『対面』勘三郎の十郎は初役とのこと。何だか老けたなあ、と思ってしまった。勘三郎ならではの柔らかさ、江戸前の和事味を期待していたのだが。橋之助の五郎も、今ひとつ。特に台詞に荒事らしさが欠けている。どこか世話っぽく、実事に近いイメージ。むしろ橋之助の十郎、勘三郎の五郎の方が面白かったかも。
獅童の朝比奈は、期待していなかったのだが、割合面白かった。彌十郎の工藤は、五郎への台詞が平板すぎて、対面の台詞劇としてのスリリングさを味わうことができなかった。七之助の虎、新吾の化粧坂
こういう儀式的祝祭的な古典劇は、さぞ平成中村座のような芝居小屋には似合うのだろうと思っていたのだが、案に相違して、平凡な一幕であった。古典劇といっても、明治期に黙阿弥が整理したものであり、やはり歌舞伎座のような大舞台向きなのかもしれない。
『お染の七役』つい最近、亀治郎で観たばかりのような気がするが、今月は七之助。もちろん猿之助バージョンではなく、玉三郎系(監修も玉三郎)。この七役では、土手のお六がしどころも多く、女形としても一番魅力的であるのだが、七之助の場合は、お染が一番良かったと思う。
今日だけに限らないが、平成中村座では、一門の脇役が活躍(裏を返せば、無人芝居ということでもあるが)。小山三も健在、台詞もしっかり。
先日、この舞台の一部をNHKで放映していた。大詰の七之助のお六の額に、早替わりで眉毛を隠したテープがくっきりと映っていて、見た目に悪かったのだが、実際の舞台ではそれほど目立っていなかった。この大詰では、当然舞台後ろが開いてスカイツリーを見せるのだろうと構えていたら、何事も起こらず、何だか肩透かし。(変に期待しているな。)
帰りは、浅草でもんじゃ。