『極楽大一座 アチャラカ大当り』

神保町シアターの喜劇特集。
エノケン・ロッパ・金語楼喜劇人協会による『アチャラカ誕生』の続編」と、プログラムには紹介してあった。
『アチャラカ誕生』の方は未見だが、まあ続編から観ても全く支障はなく楽しめる。昭和31年、小田基義監督。
女衒に売られそうになっている娘を古川緑波が助け、エノケン三木のり平トニー谷(!)が座員の金語楼一座に匿わせることから生じるドタバタ劇。
絶品はロッパの女形。実に自然な芝居で、今の歌舞伎の舞台に出ても、違和感はないだろう。ふと、先日歌舞伎チャンネルで観た多賀之丞を思い出した。女性ホルモンを注射して、効いている時だけ女形になっているという設定が馬鹿馬鹿しい。
金語楼の女義も、しっかりツボを押さえていて面白い。
三木のり平もやはり女形だが(「尾上海苔蔵」という役名が面白い。海老蔵がいるなら、海苔蔵がいても不思議ではない。)、彼は、鼻のラインや痩身の佇まいなどは、歌右衛門に似ている。おそらく意識的に真似している部分もあるのではないだろうか。
白鳥の湖」ならぬ「白狸の湖」の宣伝に、「原爆バレエ」と表現していたのが、時代である。(ジャーマン・スープレックス・ホールドが「原爆固め」になったのと同じ感覚かな。)
女衒の親玉の清川玉枝に迫力あり。その手下で最後は金語楼一座に寝返る大泉滉が、飄々とした味わい。
舞台でレコードをかけ間違い、「安来節」になる展開は、先日観た『雲の上団五郎一座』と同じだが、何度観てもやっぱり笑ってしまう。(制作は『アチャラカ』の方が早い。)
バレエも披露するヒロイン(旭輝子?八島恵子?どっち?)が、なかなか可愛い。