正月国立劇場

kenboutei2011-01-16

正月の国立劇場は、菊五郎劇団。もはや音羽屋の新たな家の芸として、十種くらい選定するのではないかという勢いで毎年繰り返す、復活実ハ新作歌舞伎シリーズ。(或いは、他の劇場では再演されるはずもないだろうから、「国立劇場歌舞伎」と称しても良いかもしれない。)
今回は、福森久助が200年前に顔見世で書いた『四天王御江戸鏑』。これを材料に、菊五郎劇団がお正月らしく楽しく料理してくれる。
「日招きの清盛」やら「土蜘蛛」やら「お土砂」やら、他の歌舞伎の名場面もてんこ盛り。もちろん、宙乗りもある。
その中で、将門の遺児・良門及び土蜘蛛一派と、頼光と四天王、平井保昌チームの対立を軸に、旗と鏡の宝物をめぐって物語を進める展開は、手堅くまとめた職人芸。
AKB48ならぬ三宅坂48や、戦場カメラマンの登場など、宴会芸もさすがの円熟度で、よっ、名幹事!といったところだが、何度も宴席に参加する常連客(?)にすれば、どうせ宴会芸を見せるなら子供なんか使わずに、役者本人がやってくれよと思ってしまった。(まあ、そうなると、ますます俳優祭化するだけだが。)
菊五郎の良門は、藍隈の公家悪だが、菊之助の土蜘蛛と被ってしまうのが難。
その菊之助の土蜘蛛の精は、身体の線は細いが、顔の隈はなかなか立派。将来の智籌に期待が持てる。
時蔵は、去年に続いての婆役はさすがに気の毒。
松緑の保昌、火焔隈が錦絵のように似合っていた。
 
帰りは天気も良かったので、皇居を回って徒歩で帰宅。