『女が愛して憎むとき』

kenboutei2010-10-02

神保町シアター若尾文子特集の初日。昭和38年、大映、富本壮吉監督。
先日観た『女が階段を上る時』と同じ、バーのママ物語。なんと脚本も同じ菊島隆三。「妾映画」同様、「バーのママ映画」という、日本映画の一つのジャンルですな。どちらも、男の都合の良い夢想が入っている。
さすがに菊島隆三だけに、話の流れ、繋がりはうまく、手際良い仕上がり。
男にも、そして女にも隙を見せないで大阪のバーを生き抜く若尾文子であったが、実は東京で「呼び屋」をしている田宮二郎とは不倫関係にある。店のスキャンダルに巻き込まれて東京出店を目指すが、田宮にも金で裏切られてしまい、大阪での再起を決意する。
若尾文子は、相変わらず艶っぽくて良い。不倫相手の田宮と行った京都の旅館で、「あたしはやっぱり2号?」と名前に拘った後に変化する表情が素敵であった。
田宮二郎の呼び屋は、キャラとしてのアクが弱い。もっと『女の勲章』の時のようなエゲツなさがあってもよかった。(東京の人間という設定がマイナスだったかも。)
森光子が若尾の師匠格のママ役で活躍。
キャストといい、キスシーンなどの濡れ場といい、同じバーのママ映画でも、そこは大映的であった。
ニセ酒で捕まった仲谷昇バーテンダーは、出所後にトルコ風呂でサッパリする。