文楽二月公演 第二部・三部

kenboutei2010-02-11

今日は二部、三部と続けて観る。
第二部
『大経師昔暦』初めて文楽を観た平成6年2月の公演時に、この演目だけ観なかったので、今回が初見。「大経師内」は、いつも女中にちょっかいをかける夫を懲らしめようと、妻のおさんが女中と寝所を取り替え、寝て待つことから起こる、誤解の悲劇。閨房が舞台になる人形芝居というのも、面白い。
女中の部屋で、別の理由で忍んできた手代の茂平衛が、おさんと誤って契ってしまい、主人が帰ってきて、お互いに相手に気がつくところで暗転する演出も、斬新。
演出的な面白さとしては、次の「岡崎村梅龍内」でも、影を使っておさんと茂平衛の死罪を暗示する場面も、印象に残る。
床は、「大経師内」の切が綱大夫、「梅龍内」の切が住大夫。
第三部
『曾根崎心中』今月の文楽公演は、「吉田蓑助文化功労者顕彰記念」。ということで、当然ながら蓑助のお初。徳兵衛は、勘十郎。師弟コンビで観るのは、玉男休演となった平成18年2月公演以来。「天満屋」の切は嶋大夫。
道行での最後の心中は、お初を刺しても、すぐにお初は死なずに徳兵衛に抱かれたまま、その後徳兵衛が首を掻き切り、二人が同時に死ぬという新演出。これによって、いつもは先に人形から離れる蓑助も、最後まで残って幕となる。
人形が死ぬと、人形遣いはすぐに引っ込むのが、なんだかあっけないと思う一方で、人形遣いを失った人形は、まさに生気を失った木偶に戻るので、より死の印象が強く残る部分もあって、どちらが良いのか迷うところだが、今日のところは、蓑助の顕彰記念でもあり、これで良かったと思う。