紀尾井ホール・長唄

kenboutei2010-01-22

江戸音楽の巨匠たち、第9回。長唄の三世杵屋正次郎長唄を取り上げるのは、第五回に続いて、二回目。
竹内道敬氏の対談相手は、徳丸吉彦氏。
杵屋正次郎は、むしろ明治以降に活躍していたようだが、江戸音楽を考える上では欠かすことはできないらしい。九代目團十郎や五代目菊五郎らによる歌舞伎の近代化にも、大きく貢献したのであろう。
色々と実験的な試みもした人で、三味線に金属的な弦を用いた「龍尾琴」なるもので演奏したこともあるという。それが実際にどんなものだったかは詳らかではないらしいが、今日は徳丸氏が、三味線にギターの弦を張ってきて舞台で弾いてみせてくれ、当時のその音色のイメージを想像していたのが興味深かった。
演奏の方は、『元禄風花見踊』と『正次郎連獅子』。長唄は、歌舞伎の舞台でよく聴くので、色々な合方が耳に馴染み、とても面白かった。
二曲とも、囃子方は同じで、太鼓には堅田喜三久が鎮座。手を袴の内に入れじっとしている姿からも、ただならぬ気配、静かな緊張感が漲っていた。
『連獅子』では、最後に『新石橋』から「髪洗いの合方」を取り入れ、このシリーズで最大の盛り上がりとなった。拍手もこれまで以上に大きかった。
実に楽しかったな。
今回で、3年がかりの全9回が終わったわけだが、竹内先生によると、好評だったので、更に何回か続けることになり、今企画中だそう。
また、竹内・渡辺コンビの話も聴けそうだ。