『アバター』

kenboutei2009-12-25

出張の札幌で時間ができたので、駅前のシネコンで観る。ジェームズ・キャメロン監督の話題の3D映画。なんと160分。初回割引が3D料金加算で相殺され、結局1,500円。
入り口で3D用の眼鏡をもらう。子供の頃に観た3Dでは、紙にセルロイドのフィルムを貼付けたチープなものだったが(あれは『キカイダー』だったかなあ)、今日のは、しっかりした作りのサングラス仕様で、つけていても違和感はない。
20世紀フォックスのオープニングで、いきなり手前の照明塔が回転しながらこちらに向かってきたのには驚いたが、本編に入ると、それほど3Dを強調した映像は少ない。
ふわふわした生物の浮遊感や、草が揺れて画面からはみ出るように見えたりと、昔の3Dのように、石や槍をわざとスクリーンに向かって投げつけ驚かすような露骨な表現は、できるだけ抑えているようだ。さりげない立体的現実感は、確かに技術の進歩を感じさせた。
むしろ字幕が浮き出てくる方が気になった、「飛び出す字幕」映画。

残念なのは、眼鏡をかけるとかなり画面が暗くなり、本来の色が楽しめない。時々眼鏡を外してスクリーンを観ると、衛星パンドラの鮮やかな世界があって、3Dに拘らなければ、通常バージョンで観た方が良いと思った。
とはいえ、ストーリーがあまりに陳腐なので、もう一度自分から観に行くことはないだろうが。(こんなに過去の映画のいいとこ取りだけで、オリジナリティのない映画も、珍しい。)
それにしても、キャメロン監督は映画に何を求めているのだろう。3Dのために、映画の色もストーリーも犠牲にするなんて、おかしな話だと思うのだが。
映像技術の進歩はこれからも続くだろう。しかしそれが映画の進歩と比例するわけではない。特撮は嫌いじゃないが(むしろ大好きだ)、その前にまともな映画であってほしい。どうしても3Dで撮りたいなら、ナショナル・ジオグラフィック的な、自然ドキュメンタリーの方が良いのではないだろうか。
シガニー・ウィーバーが博士役で健在。衛星の原住民ヒロインのゾーイ・サルダナ(「猿だな」と変換されたぞ)は、『スター・トレック』のウフーラだった。(CGで完全に異星人になっているので、観ていても気がつかないが。)
ジョージ・ルーカスがこの3D映画を観て、またスター・ウォーズを作り直そうと勘違いしなければいいのだが。