遅刻の理由

今月は一日通しで観る舞台が、新橋、歌舞伎座、国立の文楽と三つもあり、それは手帳にもしっかり記入していたのであるが、いつのまにか、15日の歌舞伎座通しを、国立の文楽通しと取り違えて記憶してしまっていた。
昨日の夜から、明日は文楽の通し、と思い込んでいて、今朝、地下鉄で三宅坂へ。
入場し、チケットに書かれた座席に座り、筋書きを読んでいると、男性客が現れて、そこは自分の席だと言う。
こういうことは、以前にも何度かあり、大抵は相手がチケットを読み間違えたりしているので、やれやれ、と思いながら、男のチケットを受取り、日付を確認。
やっぱりな、と思いながら、「これは、15日のチケットですよ」と突き返す。
男の答えは、自分の予想に全く反していた。
「今日、15日。」
ここで、一瞬、頭が真っ白になる。
彼は一体何を言っているのだろう。
自分のチケットの日付を見ると、全然別の日付が、はっきり記されていた。
それでもまだ、自分は固まっていたのだろう、ちょっと間があったところを、男は続いて、
敬老の日。」
と付け加えた。
敬老の日が9月15日であることなど、知っちゃいなかったのだが、多分、そこまで言うなら相手が正しいのだろうと、とりあえず、席を譲り、ロビーに出てソファに座り、心を落ち着かせ、今の出来事を振り返る。
だんだん分かってきたのは、文楽は千秋楽のチケットを入手していたはずであり、今日はまだ月半ばだから、千秋楽ではなさそうだということと、通しで観る舞台は、他に歌舞伎座があったということ。
ここで、ようやく、歌舞伎座国立劇場を取り違えたことに思い至る。
時間を確かめると、10時45分。
慌てて劇場を飛び出し、タクシーに乗り、一旦自宅へ戻る。
歌舞伎座のチケットを持ち出して、再びマンション前でタクシーを待つがなかなか通らない。反対方向のタクシーが信号待ちしていたので、それに乗って、「歌舞伎座へ」と言ったところ、その運転手、「すみません、道がわからないので教えて下さい」。
そのままタクシーを降り、別のタクシーをようやくつかまえ、歌舞伎座に到着。
ちょうど30分遅れであった。
教訓その1
出発前に、チケットの日付は確認しておくこと。
教訓その2
たとえ3連休の最終日でボケているとはいえ、今日が何日かくらいは、きちんと認識しておくこと。(これができなければ、教訓その1も無意味だ。)
教訓その3
タクシーは、慌ててつかまえようとして、あちこち動き回るより、じっくり待っていた方が良い。
教訓その4
日頃から、もっと注意深く行動すること。(これが難しいのだ、子供の時から!)