二度目の『二人道成寺』

引き続き、夜の部。もちろん、玉・菊の道成寺を観るためである。今回は一階の後方からの観劇。舞台全体を見渡すには、こちらの方が良い。
その前の『石切梶原』、半分ほど寝ていたが、幸四郎は、前回観た時よりは良かった、ような気がする。刀の目利き、試し切りの形などが、きっぱりとしていた。
そして、『二人道成寺。今日は、菊之助の方により目が行った。木戸口に一人で立った時の美しさ。惚れ惚れと見とれてしまう。玉三郎とのユニゾンの踊りも、ゆったりとしてきて、一昨年の必死さとは随分違う。
先日観た時も含めて、菊之助の花子は玉三郎に操られているものと考えているのだが、それは両者の踊りの違いやキャリアからくるイメージに影響されて、こちらが勝手に思っていることでもある。菊之助の踊りがだんだん豊かになってくると、このイメージも変わってくるのだろう。
この新しい「二人道成寺」は、踊り手の個性や力量によって、様々な解釈が出てくる。今後も、玉三郎の円熟と菊之助の成長が進むにつれ、観る方の楽しみも増えていく。
そう思うと、また次の機会を観るのが楽しみになるのだが、実は、そろそろ、菊之助一人の道成寺歌舞伎座で観てみたいのである。そういう意味からは、この二人道成寺は、もう少し大事にしながら出してほしかったりもする。(ファンとは勝手なものだ)
ところで、今日は乱拍子の後の、謡がなかった。色々と試行錯誤しているようだ。
『小判一両』は観ないで帰る。