文楽素浄瑠璃の会

kenboutei2005-10-29

住大夫の「勘平腹切の段」。お軽との別れは省き、与市兵衛の死体を狩人が運んでくるところから。これも普通の出し方なのかもしれないが、六段目の素浄瑠璃くらいは最初から語ってほしいもの。50分程の語りは、内容も含め、正直言って物足りなかった。ちょうど文化功労賞決定のニュースの翌日だったため、会場は盛大な拍手で盛り上がっていたが、それに反比例して、自分はだんだん白けて聴いていた。住大夫の語りを生で聴けるだけでもありがたいとは思うが、中味については、もっと凄いのを聴きたい。
終わってからは、高木浩志を交えて、今語った段の解説。こちらの住大夫の方がよほど面白くて、かつ凄みもあるのが不思議。ここ数年恒例となっている風景で、解説自体も勉強になり非常に貴重なのだが、素浄瑠璃を語るより、だんだんこっちの方がメインになってきているような気がする。住大夫の年齢を考えると致し方ないけれど、この構成で本当にみんな満足しているのだろうか。例えば、住大夫は解説だけにして、津駒大夫、千歳大夫、呂勢大夫などに、たっぷりと語らせるようなプログラムにしてもいいと思うのだけど。(あるいは綱大夫にトリを任せるとか。)