『落第はしたけれど』

kenboutei2005-03-28

昨日、観る。(DVDのバカ買いを反省、買うばかりで観もしない状況の改善を図ろうとしたが、結局昨日はこの一作品で終わってしまった。)
昭和5年の作品、サイレント。以前、京橋のフィルムセンターで観た『若き日』と同じ学生もの。卒業しても深刻な就職難なので、結局落第して大学に残った方が気楽でいい、という何ともなストーリーのコメディ。落第した主人公はひどく落ち込むのだが、その割に試験の時はカンニングでやり過ごそうとしており、そんなに落ち込むなら真面目に試験を受けろ、と突っ込みを入れたくなる。スキーに興ずる学生を描いた『若き日』を観た時にも思ったのだが、現代の我々と同じような学生生活を送っていた彼らが、この後、戦争へと駆り出されていくのだと考えると、先の世の中などわからないとつい嘆息してしまう。斉藤達雄、田中絹代、子役の青木富夫など、初期小津作品の常連が生き生きとしていて、安心して観られた。