「関の扉」

かつて録画しておいた「関の扉」のビデオを二本観る。一つは、松緑歌右衛門勘三郎の昭和58年歌舞伎座、もう一つは白鸚歌右衛門梅幸の昭和54年歌舞伎座。目的は、関守の「きやぼうすどん〜」の当て振りをどうやっているのかを確認したかったのだが、松緑白鸚、兄弟でも随分と違う。キレの良さは松緑だが、白鸚は大雑把でもなかなか味がある踊り方。わかりやすさなら松緑だろう。歌舞伎の踊りはあまり理解できていないのだが、こうしてビデオで比較しながら鑑賞すると、案外面白い。歌右衛門は昭和54年の方が4年前より当たり前だが動きがよかった。昭和58年の歌舞伎座の舞台は、それぞれの息子である、辰之助福助梅玉)、勘九郎が後見を勤めていたのだが、何か理由でもあったのだろうか。いずれにせよ、どちらも充実した舞台で圧倒される。11月の歌舞伎座吉右衛門魁春富十郎で「関の扉」をやるそうだが、そのいい予習にもなった。