6月歌舞伎座第三部再見 海老蔵復調の『助六』

kenboutei2013-06-23

今月二度目の第三部。
海老蔵助六が、初日に比べて大いに良くなっていたのに驚いた。
特に、あの耳障りであった甲の声の発声が改善され、初期の海老蔵の頃に戻っていたのが喜ばしい。
きっと誰かの指摘や指導があったのかもしれない。かなり意識的に高音部が抜けないようにしていた。(抜けそうになると息の使い方を工夫して、できるだけ地声のボリューム感ある低音域に戻そうとしているのが、聴いていてもはっきりわかった。)
あの悪癖の発声が改善されたことで、助六の魅力も倍加。「こりゃまた何てこったい」などのの台詞の誇張も抑制的で(やはり誰かの指導があったのだろう)、助六としての破綻感がより薄くなり、芝居の一貫性が強くなった。
また、初日は菊五郎吉右衛門らの大幹部に支えられての助六であったが、今日は、大御所に遜色なく対峙。それだけ助六のスケールが増したということ。
声の変化だけでもこれだけ立派になるのだから、これが今日だけの現象でないことを祈るばかり。(あのひどい『対面』はどうだったのだろうか?)
一方、福助の揚巻は、花道の酔いっぷりは少し改善されていたが、悪態の初音が、更に怒鳴り気味になっていた。これまでの揚巻役者はここまで台詞に感情を入れていないことを、誰か助言する人はいないのか。
『鈴ヶ森』の感想は、初日と変わらず。