『痴人の愛』

kenboutei2009-01-17

そして再び、神保町へ!
午後3時50分の回の、『痴人の愛』。人気があるのか、なんと満席。
増村保造版は観ているが、今回のは昭和24年の木村恵吾監督作品。
宇野重吉が譲治、ナオミは京マチ子森雅之は、ナオミと遊ぶ若者役。
戦後まもなくの映画化であり、性的な描写について限界があるのはやむを得ないと思うが、結末を原作と変えてしまうのは、いかがなものか。
今日の映画では、一度家から追い出されたナオミは、自らを反省して譲治の元に戻り、今後は譲治の言う事をきく女になると誓って終わるのである。これでは、ナオミではない。
京マチ子のナオミは、肉感的でなかなか良かったのに、このストーリーでは、その魅力は100%発揮できなかったように思う。
宇野重吉の譲治は、ちょっと真面目すぎる。女の肉体に溺れる男を演じるには、むしろ森雅之の方がよかったかも。
オープニングとエンディングのタイトルバックに、何故か褌姿の男が、ギリシャ彫刻のようなポーズをして出てくるのだが、容貌といい、肉体といい、全く貧相で美しくなく、この映像だけで、この映画の出来栄えが想像できるのであった。