『大怪獣ガメラ』

kenboutei2009-01-06

会社で京橋フィルムセンターのホームページを覗いていたら、怪獣・SF映画特集が今日から始まり、夜は『大怪獣ガメラ』だというので、予定を変更し、駆け付けた。満員で入れないのではないかとも思っていたのだが、入りは5割程度と、案外人気がないのにちょっと肩透かし。当然ながら、圧倒的に男性客。女性は数える程だった。
言わずと知れたガメラ映画の第一作、スクリーンで観るのは今回が初めてだが、テレビでは一度くらい観ていただろうと思いこんでいた。しかし、ここまで衝撃的なトンデモ映画であるという記憶は全くないので、実際は今日が初めてだったのだと思う。
開始早々からガメラが暴れ出し、その後も、特段の伏線やヒネリもなく出現し続ける。それに対して、いかにガメラを退治するかがメインストーリーとなっているのは、『ゴジラ』同様、怪獣映画の王道ではあるが、自衛隊の隊長の一存で核ミサイルを発射しようとしたり、たまたま研究していた冷凍爆弾があったり、タイミングよく台風や火山の爆発が起こったりと、突っ込みどころ満載で、まるで怪獣映画のパロディを作っていたのではないかと思える程であり、同じジャンルとはいえ、『ゴジラ』とは同列に扱えない、そもそも別の種類の怪獣映画であった。
ガメラ自衛隊の攻撃で裏返しになる場面で、名優・浜村純が、「亀は裏返しになると自力では元に戻れないので、このまま気長に死ぬのを待とう」と言った時は、フィルムセンターの観客からも、かなり大きな失笑が沸き起こった。(他にも脱力的な笑いが随所にあった。)
最期のゼット計画の結末に至っては、もうただただ苦笑してスクリーンを眺めるしかなかった。あまりに衝撃的で、ここにも書き記す事が憚れる。(あの少年は、あれだけガメラを助けようとしていたのに、何故ゼット計画には喜んでいたのだ?)
まあ、しかし、これは決して貶しているのではなく、これだけ下らない脚本を、(特撮映画としては低予算だったそうだが)それなりの金をかけて真面目に作っている点はとても清々しい。アニメを駆使した特撮は新鮮に見えたし、白黒のコントラストがシャープな映像、カット割を多くしテンポアップさせた演出も、興味深いところである。
この映画は、フィルムセンターのような、名画を鑑賞しますといった場所ではなく、ビールを片手に、場面場面で大声で騒げるような劇場が相応しい。それこそ、前述の浜村純の台詞で爆笑し、その後、ガメラが首と手足を引っ込め、そこから火を噴き出して空を飛んで行ってしまった時には、立ち上がって、隣の客とハイタッチするのが、正しい鑑賞方法だと思う。おそらくアメリカの映画館なら、大受けするだろう。
ある意味、エド・ウッドの映画に匹敵する、カルト・ムービーとして位置付けるべき作品。
船越英二が主演。少年の姉役の姿美千子が美しかった。
それにしても、こんなに変な映画とは思わなかったなあ。
すごいぞ、ガメラ

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