『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』

kenboutei2008-07-22

会社帰りの午後6時台の回、マリオンの日劇PLEX。ガラ空き状態。
インディ・ジョーンズ・シリーズの第4弾。今頃になって、新作が出るとは思いもよらなかったが、『レイダース』に興奮した世代としては、やはり駆けつけずにはいられなかった。
パラマウントの山の頂きをなぞったオープニング、飛行機で移動する時に登場する地図と飛行経路の矢印、インディの蛇嫌いや「何か嫌な予感がする」という台詞など、シリーズお馴染みの場面も健在。往年のファンには懐かしくも嬉しいところではあるが、実はそれがせいぜいで、昔のように胸躍り、ワクワクしながら画面に喰い入るという感じでは、もはやなかった。
最近のハリウッド映画にありがちな展開、アクション・シーンも何だか食傷。そんなに何度も同じような殴り合いや撃ち合いをする必要があるのかね。
アマゾンのジャングルで、森林を疾走しながら戦う場面は、もろ『帝国の逆襲』へのオマージュだと思うのだが、あまりにもアニメーション的な、物理的にあり得ない動きで(何しろ車と車の間に股がり、疾駆する時に通り過ぎる樹木に股間を何度も打ちつけられても、絶対に落っこちないのだ。)、いくらCG全盛で何でも表現できるからといって、「嘘の世界でも、その世界内でのリアル感」をも失ってしまっては元も子もない。(実写をアニメのように動かすと、それはアニメだ。)
それから、野暮を承知で言うと、インディがネバダの核実験に巻き込まれて、銅製の冷蔵庫に隠れて助かるという場面は、いくらアメリカ映画とはいえ、あまりに能天気すぎる。
唯一面白かったアクションシーンは、大学内でのバイクと車でのカーチェイス。『レイダース』の頃に目指していた(そして見事に成功していた)、昔の活劇映画の趣きが、このシーンだけには感じられた。
まあ、そんなことより、今回一番気に入らなかったのは、インディ・シリーズにSFを持ち込んでしまったことと、若くて美しいヒロインが登場しなかったことに尽きる。
特に後者については、『レイダース』のヒロイン、マリオン役のカレン・アレンが再登場するのは嬉しかったが、如何せん、年を取り過ぎた。それはインディ役のハリソン・フォードについても同じことではあったが、女性の場合は、もっとつらいものがある。久しぶりの同窓会で、昔憧れていた女の子が、すっかりおばさんになっていた時の、何とも言えない、あの気持ち。
また、それを補うべく投入されたであろう、敵役のケイト・ブランシェットにも、全く色気がなかったのも残念。まあ、この辺は、女性をうまく撮れないスピルバーグ(とルーカス)映画と、最初から諦めていた方が良かったのかもしれない。
インディの昔の仲間役のジョン・ハートだけは、『エイリアン』の頃の印象とあまり変わっていなかったが、この人は、昔から老けていたからなあ。
インディの息子役のシャイア・ラブーフは、『トランスフォーマー』にも出演していたが、やはりヤンキースのポサダに似ている。スピルバーグのお気に入り役者なのかな。もし、更に次回作が作られるなら、彼中心の冒険活劇にするつもりなのだろうか。その場合、インディは、傍らで応援役、恋のアドバイスもしたりなんかして。(それじゃまるで「寅さん」だが。)
大学にも吹き荒れる赤狩りの様子にさりげなく触れたり、インディとマリオンの会話など、惹き付けられるドラマ場面もあるのだが、いかんせん、その割合があまりにも小さい。
エンド・タイトルに流れるジョン・ウィリアムスのあのマーチが、何だか寂しく聞こえてしまった。