『ショック集団』

kenboutei2008-02-16

買ったまま放置している数多のボックスから、サミュエル・フラーショック集団』。
精神病院内で起こった殺人事件の犯人を探るため、新聞記者が恋人を妹に仕立てて、近親相姦をしかけたと見せかけ、自ら患者として病院内に潜入するが、結局自分自身の精神もおかしくなってしまう。ミイラ取りがミイラになるという、ある程度は先が読める展開と、院内の患者の描写は、今からするとかなり古典的ではあるが、製作された60年代当時は、かなりショッキングな内容だったのだと思う。
現実の展開は白黒で、患者の夢がカラーとなっているのが面白い。その映像に、フラーが東京で撮ったスナップショットなどが使われているのは、おそらく予算がなかったためだとは思うが。
精神病患者を描いた映画として『ショック集団』が最初なのかは定かではないが、これ以降のこの手の描写のある映画には、少なからず影響を与えているのだろう。
個人的には、最近統合失調症患者を身近に接しているので、ちょっと複雑な気分。主人公の記者役ピーター・ブレックが、かつての上司に似ていたのもおかしかったのだが。
院内に雨を降らせ、稲妻を光らせて、狂気の世界を表現する映像世界は、今も一見の価値がある。

ショック集団 [DVD]

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サミュエル・フラー DVD-BOX

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