紀伊半島出張の旅

kenboutei2007-10-31

日曜日に出発。新幹線で名古屋、そこから3時間かけて、熊野へ。
夕方、ホテルにチェックインして、散策。
ほんの数分で、七里御浜海岸に行き着く。
見渡す限り遮るもののない海岸で、こんなに広く海を眺められるのも、自分にとっては随分久しぶりのこと。遠くに投げ釣りをしている人が一人いたくらいで、周囲にほとんど人はいなかったのも、なんだかこの海岸を独り占めしているような気分にさせてくれた。
砂浜ではなく、小石がびっしり敷き詰められた海岸で、そこに打ち寄せる波の音、特に波が引く時に小石を転がす音が、実に耳に気持ちよく、30分以上、木の切れ端の上に座り込んで、ただただ海を眺めていた。ネクタイはしていなかったが、出張用の背広のままだったので、周囲からはちょっと危ない人に見えていたかもしれない。
気がつくと日も暮れて、海岸沿いに歩いてから、市内に戻る。途中、波に浸食された奇岩があって、その真下も歩いたのだが、後で確かめると、その奇岩は獅子巖であった。
翌日の月曜日から、紀伊半島に点在する事務所を車で訪ねる。合間に、熊野本宮大社に連れて行ってもらう。熊野古道をはじめ、この一帯は世界遺産に登録されたこともあり、それほど多くはなかったが、観光客の姿もあった。
この日は川湯温泉に宿泊。同じ名前の温泉街が北海道にもあるが、多分こっちの方が古いんだろうな。
文字通り川底から温泉が湧き出ているとのことで、川をせき止めて作る千人(仙人)風呂が有名らしいが、それは11月に入ってからのことで、今日はまだ10月であった。それでも露天風呂には入ることができ、すぐそばに流れる川の音を聞きながら、鬱蒼とした樹林に囲まれた中での温泉浴と森林浴が、心と身体のリフレッシュになったことは言うまでもない。露天から出て、川に足をつけてみるとヒンヤリとして気持ちよかった。翌朝も再び入浴。昨日は夜で見えなかったが、川では鮎らしき小魚がひんぱんに川面から飛び跳ねている。
火曜日は、北上していき、最終地は大阪。途中、長い吊り橋も歩いて渡った。
初めての紀伊半島だったが、思った以上に興味深い地域であった。自然と歴史と神話に満ちており、どこへ行っても飽くことがない。ここに住んでもいいとも思ったが、それはお前が年をとったからだと、実際に住んでいる会社の先輩から言われてしまった。それにしても、県境を走行していたせいか、三重県奈良県和歌山県の位置関係がさっぱりわからず、時々、ここは何県だろうか、と思うことが多々あった。行政関係はややこしそうだな。
早朝6時台の新幹線で帰京。9時台には本社で仕事に戻っていた。夕方、とある案件で副社長に「職務怠慢」と厳しく叱責され、紀伊半島の旅の余韻など、すっかり吹き飛んでしまう。
・・・疲れた。