歌舞伎座特別舞踊公演

kenboutei2007-09-27

Web松竹では空席なし表示だったが、会社帰りに寄ってみると、まだ当日券があったので、急遽入る。2等の1階席、最後列近くのほぼ中央。15,000円。(高い!)
『三升猿曲舞』松緑。奴と絡むきびきびした踊りだが、あっという間に終わってしまった。
『高尾』雀右衛門。今日の目的は、この舞台。「高尾」は、去年の4月にも出しているが、その時以上に、今日の雀右衛門には、儚さを感じた。元々、死んだ高尾の亡霊という設定なので当然かもしれないが、本当に亡霊が踊っていると思わせる程、何だか朧げで、幽玄な佇まいに、少なからずゾッとしてしまったのである。
舞台中央のセリから登場し、足はそれほど動かず、時間をかけて少しずつ前進するのみであったが、その間、首と手の動きは誠に繊細かつしなやかで、まさにその一挙一動に、会場の空気は何とも言えない、凝縮した緊張感に満ちていた。
終わった瞬間、どっと疲れた。脳裏に焼き付く舞台であった。
『うかれ坊主』先日放映されたNHKの特番では、膝が相当悪そうだったので、大丈夫かと思っていたのだが、案外元気。この幕前の休憩時間、大ちゃん、愛ちゃんが最中アイス売り場で、「いらっしゃいませー」と売り子の真似事をしていた。(思わず買ってしまった。)また、舞台が終わった時、いつの間にか入り口近くで観ていた愛ちゃんが、泣き声を発して外に出て行ったようだった。って、舞台と関係ないこと書いてるな。
『雪』玉三郎。自分は初めて観ると思う。地唄舞だそうだが、何とも雰囲気があって良い。傘の使い方がうまい。
『鷺娘』これも玉三郎。何度か本興行で観ているが、以前は、バレエっぽいなあと感じていたのが、今日はそうは思わなかった。もはや、バレエの影響云々というより、玉三郎独自の世界として、そんな違和感がなくなったということかもしれない。最後の瀕死の鷺も、どちらかというと、淡白な表現であった。
客席後方で観ていたのだが、前の客の頭がちょうど舞台中央を遮るのに閉口。特にこういう舞踊は、踊り手一人だけに視線が集中するのと、あまり横への動きがないので、前の頭を視界から外して、舞台の踊り手を観ることに、通常の芝居以上に苦労した。さらに最悪だったのは、その前の客が、オペラグラスを使う時、背筋を伸ばし、両肘を横に突き出す姿勢になってしまうこと。気持ちはわかるが、後ろの客のことも考えて欲しいものだ。『鷺娘』の時など、そんなオペラグラスの客が続出し、舞台が鷺だけに、まるでバードウォッチングのように思えたのは、自分だけか?