『ロバータ』

kenboutei2007-04-01

アステア&ロジャース映画、未見の最後の一本、『ロバータ』。
『空中レビュー時代』同様、二人は主演のカップルを盛り立てる、一種のトリックスター的役割となっている。主演はアイリーン・ダン。(彼女の恋人がランドルフ・スコットだが、クレジット順では4人の中で一番下位だった。)
小説「ロバータのガウン」を脚色したブロードウェイ・ミュージカルの映画化。『空中レビュー時代』、『コンチネンタル』に続く、二人共演の三作目、1935年の作品。
あくまでアイリーン・ダンランドルフ・スコットの恋の行方がメインなので、アステアとロジャースの絡みは少ないが、それでも踊りとなると、圧倒的である。
最初に出てくるタップダンスの共演が、迫力抜群で楽しい。ジンジャーは黒のパンタロン風のズボンでタップを踏む、その足の躍動が美しい。
「I Won't Dance」は、踊ろうとするジンジャーを抑えて、アステアだけが歌い、タップも独占するのが、やや不満。とはいえ、アステアのタップはやはり凄い。
最後に、「煙が目にしみる」で、二人はエレガンスに踊る。ジンジャーの、黒いシルク(多分)のドレスが、美しい。
この前に、同じ曲をアイリーン・ダンが歌うのだが、それもまた良い。(彼女の歌う「Yesterdays」もなかなか良かった。)
アステアのピアノや、バンドのメンバーの手を鍵盤に見立てたアカペラ演奏、今観ても古びてないファッションショーの衣装センスなど、見所は結構ある映画であった。
ジンジャーのコメディエンヌとしての才能も、見逃せない。

ロバータ [DVD]

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