『祇園の姉妹』

kenboutei2007-03-08

山田五十鈴
山田五十鈴
山田五十鈴
・・・ようやく、『祇園の姉妹』を観る。
溝口監督がどうのこうのというより、とにかく、これは、山田五十鈴によるアイドル映画である。
その可愛さ、美しさといったらもう・・・。何故今まで知らなかったのだろう。
首筋から頬へのライン、ややつり上がった眉と目尻。そこに匂う若い色気。
芸妓として日本髪の鬘をつけている時も美しいが、不思議なことに、髪を後ろになでつけ、普段着の洋装でいる時の方が、より和風な色っぽさがあった。そして、歌麿の描く女性にも似ていた。(自分はこれまで歌麿の錦絵に、どうしても現実の女性をイメージすることができなかったが、山田五十鈴が冒頭、シミーズ姿で無防備に現れ、歯を磨く姿に、初めて歌麿美人のイメージが重なった。)
カメラに背を向け、火鉢の向こうにいる進藤英太郎を手玉に取ろうとしているやりとりに、その背中姿と声だけで、観ているこちらがムズムズし、先に「旦那になりたい!」と思ってしまった。
梅村蓉子の茫洋とした魅力や、祇園の内幕、志我迺家弁慶の味わいなど、他にも語るべきことはあるはずだったが、全ては山田五十鈴の前では翳んでしまう。戦後の溝口映画の大作が語られるなら、それ以上にこの映画(と『浪華悲歌』)の山田五十鈴を語るべきである。
久し振りに、女優で興奮した。もっと若い頃の「ベル」の映画を観たくなった。

祇園の姉妹
祇園の姉妹
posted with amazlet on 07.03.11
松竹 (2006/11/22)