歌舞伎座の奇客

最近歌舞伎座に行くと、ぼっちゃん刈りの年齢不詳の太った男性によく出会う。窮屈そうに座席に座っているのだが、身体の自由がきかないのか、立ち座りがぎこちないだけでなく、歩く時も腰を曲げ、周囲の椅子に寄りかかりながらヨタヨタと歩く。腰が伸びきらず、老人のような動きである。誰かの介護が必要と思われる程の、鈍重な歩みである。
近くの座席になることも何度かあったが、芝居中は殆ど眠りこけており、時々起きるとひどく咳き込み、周囲の芝居への集中を著しく妨げている。鼾はかかないものの、涎はたらしており、舞台よりも気になって仕方がない。
先日の昼の部でも、近くにいた。やはり殆ど寝ていて、咳をし、涎をたらしていた。
一体何しに来ているのだろう。