国立・十二月『元禄忠臣蔵』第三部

kenboutei2006-12-24

昨日当日券を取ろうとしたら満席。翌日ならキャンセルが3席ほど出たとのことで、その一席を予約し、今日の観劇となる。相変わらずの不思議な盛況。時間と体力を考慮し、自転車で最寄りの駅まで行き、そこからは半蔵門線
三ヶ月連続の通し公演もいよいよ最後。今月は、「吉良屋敷裏門」「泉岳寺」「仙石屋敷」「大石最後の一日」。休憩を除くと3時間足らず。内蔵助は幸四郎
先月の感想でも書いたのだが、『元禄忠臣蔵』という芝居には、今ひとつ、乗れない。大入りの観客からの拍手や声がかかるのに反比例して、だんだん白けてしまう。
今月も同じだった。
最近は新歌舞伎への拒絶反応もなくなっていたはずなのだが、見取りの一つとして観るならともかく、一日中付き合わされるのは、正直しんどい。分別臭い芝居は、苦手である。
というわけで、特に書くべきことがあまりない。印象に残った役者だけ書くと、

  • 泉岳寺」の門之助。月代の伸びた浪人の表情が、写楽描く高麗蔵の志賀大七そっくりだった。ということは、もっと凄みがつけば、鼻高幸四郎のようになるのも夢ではない(?)。
  • 大石主税が知らない役者だなと思って確認したら、巳之助だった。「たのきゅう」での弛緩した表情とは打って変わった神妙さ。筋書のコメントも殊勝かつ意味深。
  • 「仙石屋敷」の幸四郎三津五郎の対決は、それほど盛り上がらなかった。三津五郎がこの場だけとは勿体ない。
  • 最後の幸四郎の花道からの引っ込みは、席が間近だったので、じっくり堪能できた。今日の収穫はこれくらいかな。

三ヶ月間大盛況で、40周年記念としては成功なのだろうが、歌舞伎を観に来たというより、「忠臣蔵」の芝居を観に来たという客層が多かったように思う。今回来た観客が、純粋な歌舞伎にも足を運ぶかは、甚だ疑問。この盛況の裏には、もはや三大狂言だけで客を呼べない時代となっている、ということもあるように思えてならない。
(とかなんとか言ってるが、3ヶ月通った記念の手拭いは、しっかりいただきました。)