国立・11月『元禄忠臣蔵』第二部

kenboutei2006-11-11

今回も電話で当日券予約。天気が悪かったので、行きも帰りもタクシーを使った。贅沢というより、怠惰になってしまった。癖にならないようにしよう。
「伏見撞木町」「御浜御殿綱豊卿」「南部坂雪の別れ」の三編。内蔵助は藤十郎
初めて観る「撞木町」は、『忠臣蔵』の七段目と同じく、遊蕩に耽る内蔵助の本心を問い質す話。藤十郎は、和事味が強い内蔵助で、先月の吉右衛門の実事風内蔵助から比べると、大分違和感があるが、これはむしろ七段目の由良助でもあり、その意味では上方のじゃらじゃらした雰囲気はよく出ていた。(真山青果が望んだかどうかは別として)
「御浜御殿」梅玉の綱豊卿は、梅玉としては珍しく台詞に生気があった。翫雀富森助右衛門は、世話っぽくて、とても仇討ちのために隠棲している浪士には見えず。この両者の丁々発止の台詞の応酬がこの場の眼目なのだが、昼食後のせいか、眠くてしょうがなかった。
「南部坂」は、まずセットが美しい。ここでの藤十郎内蔵助は、当然ながら「撞木町」よりどっしりとしており、和事から和実に移ったという感じ。時蔵瑤泉院は、まずまず。愛之助の羽倉斎宮は、なんだか大河ドラマを観ているようだった。藤十郎の花道への引っ込みは、気迫のこもったもので良かった。(最後にしてようやくツケが入る。) それにしても、藤十郎は若々しい。
他には、秀太郎、歌江が印象に残る。
全編を通じて、肝心の台詞は、時々プロンプはあったが、おおむね皆スムーズで、破綻はなかった。しかしながら、いくら台詞劇とはいえ、その台詞を大声で言い切ることができただけで、拍手が来るのもどうかと思う。今日も雨の中、盛況の国立劇場だったが(おまけに大向こうも気合いが入っていた)、自分にとってこの『元禄忠臣蔵』は、どういうわけか全く感銘を受けない。
その理由は、来月の第三部でわかるだろうか?