2月文楽公演 一部・二部

kenboutei2006-02-12

2月の文楽国立劇場。冬の寒さに出掛けるのがだんだん億劫になってきて、ぎりぎりまで部屋にいて、タクシーで三宅坂まで。帰りは地下鉄。
第一部
『弁慶上使』十九大夫。語り口がこの段に合っているのか、面白く感じた。十九大夫の声量が弁慶の大きさをよく表していた。歌舞伎に比べて、テンポよく進むので退屈しない。おわさが弁慶を夫と知って、急にシナを作るような、余計な入れ事もなかった。
『関取千両幟』初めて観る芝居。気がついたら寝ていた。終盤になって、燕二郎が曲芸まがいの三味線さばきを見せだして、目が覚める。撥の柄の部分で弾いたり、指で弾いたり、撥を放り投げたり。初めての経験で驚いた。観客も大喜び。多分、昔はこういうショー的な見せ場はもっとあったのだろうなあ。筋書の解説には一切紹介されていなかったのは、どうしたわけか。一番の見所だったのに。今度燕三を襲名するので、燕二郎としての最後のサービスだったのかな。
第二部
『小鍛冶』歌舞伎で初演、その後文楽に写したとのこと。文楽では初めて観るが、どちらかというと、猿之助勘九郎で観た歌舞伎の方が面白いと思った。
『曾根崎心中』またか、とつい思ってしまうのは、先月、藤十郎の濃い舞台を観たためかもしれない。
近松の原作を復活したのは歌舞伎が先だが、個人的には文楽の方が好きだ。
文楽で観ると、お初と徳兵衛の、若さというものがより実感できる。そしてその分、心中の場面が痛切である。
(まあ、何も藤十郎のお初が若くないと言っているのではないが・・・ただ、あの女性主導を強調するような藤十郎のお初が全てではないはず。彼以外のお初も早く解禁してほしいものだ。菊之助海老蔵でやったとしたら、もう・・・以下省略)
綱大夫の語りは、CDでも何度も聴いているので、耳にすんなり沁み入る。
玉男休演のため、徳兵衛は勘十郎が勤める。いつもは出遣いの天満屋の段も、みな頭巾姿だったのは、玉男に遠慮してのことだろうか。もしかしてお初の簑助も休演となって、顔を出すのを避けたのかとも思ったが、道行ではちゃんと出遣いで出ていたので、それは杞憂であった。
全体的にテンポアップしていたような気がする。
道行での、睦大夫に美声の片鱗。