『スカイキャプテン』

kenboutei2005-12-27

椎名誠が週刊誌上で褒めていたので、買ってみたのだが・・・。
30年代、40年代のSFパルプ雑誌の雰囲気を、コンピュータ・グラフィックで再現してみせたもので、その映像自体は、見事に当時のSFのイメージ(例えば「アメージング・ストーリーズ」の表紙や、フリッツ・ラングの「メトロポリス」に出てくる都市など)が出ていて、面白い。そこに出てくるロボットやロケットなどの所謂レトロ・フューチャーな感じは嫌いではない。
しかし、それだけのことで、映画としては、とってつけたような凡庸なストーリーで、評するにも値しない。
特典映像でも明らかにされているが、元々は、個人が趣味でパソコンで描いていた数分のイメージからスタートし、その延長線上で、全編CGで作った映画。友達の家で自主映画を見せられるのと大差ない。自主映画でも、オリジナル性があればまだしも、精巧な模倣に留まっている以上は、本来商業映画にすべきではなかったものだと思う。
ジュード・ロウグウィネス・パルトロウ(覚えにくい名前だ)、アンジェリーナ・ジョリーら役者の名前に惹かれて劇場に行った観客にはお気の毒といった感じ。
しかし、オタク度100%の世界観は結構好きだし、こういう映画を嬉々として作れる環境が羨ましくも思った。
続編が出るとしても観る気にはなれないが、次にこの監督はバロウズの「火星のプリンセス」をやるらしい。これは観てみたい。(武部本一郎の表紙絵が再現されれば最高だが、それは無理か)
アンジェリーナ・ジョリージョン・ヴォイトの娘だったとは知らなかった。親父そっくりだ。