歌舞伎座顔見世・夜の部

kenboutei2005-11-23

『日向嶋景清』睡魔との戦い。結局負けた。以前、白鸚の歴史的舞台(文楽との共演)の録画を観た時も、眠ってしまった覚えがある。もともとの話が面白いと思えないせいかも。(歌舞伎十八番の『景清』は好きなんだけどなあ) 終盤、船に景清が乗ってからの、清太夫、泉太夫浄瑠璃が耳障りだった。
鞍馬山誉鷹』これまで、富十郎の親バカさ加減に半ばあきれていたのだが、大ちゃん改め鷹之資は、なかなかな役者ぶりである。花道での見得、長丁場の立回りも見事にこなし(後見の信二郎がご苦労様)、『アッちゃんのベビーギャング』の勘九郎坊やに匹敵するものがあった。雀右衛門梅玉吉右衛門仁左衛門が居並ぶ口上でも、各役者が客席に向かって「鷹之資をよろしく頼む」と言う度に、自らもお辞儀をする。そのタイミングも的確で、ほとほと感心した。
親バカのゆるい舞台だろうと高をくくっていたのだが、どうしてどうして、立派な襲名披露であった。
鷹之資の顎から首のラインが、富十郎とそっくりだったのも新発見。
『連獅子』幸四郎染五郎。分別臭い親獅子に、素直で元気な子獅子。そんな親子、うちのマンションでも見掛けるなあ。個人的にはあまり近づきになりたくない。染五郎の最後の毛振りは、腰ではなく、首と肩で振っており、あまり美しくなかった。
『大経師昔暦』9月の「植木屋」に続く、梅玉時蔵コンビによる上方芝居。今回は近松物だが、やはり上方っぽさはまるで感じられない。それでも、近松の戯曲は面白く、夜の部では一番見応えがあった。(除く鷹之資)
歌江の母親が出色。出てきた時から、嫁いだ娘に金の工面を頼まなければならない申し訳なさと辛さが滲み出ていた。
歌六が奮闘。そういえば、国立にも出ていたなあ。
梅枝の女中お玉は、この芝居の鍵となる人物だが、台詞の間とテンポがまだまだ。
上方色の薄い舞台が、二幕目になってぐっと締まったのは、葵太夫と宏太郎の竹本が立派だったからだろう。この二人が、この芝居を役者以上にコントロールしていたと言っても過言ではない。「日向嶋」の竹本とはえらい違いだった。