「さよなら名大関貴ノ花」

小中学生の頃の自分のヒーローは、長嶋、猪木、ビートルズ、そして、貴ノ花だった。情報源がテレビと雑誌程度しかない田舎育ちにとっては、ありがちな選択であったろう。
そのヒーローの一人、貴ノ花(二子山親方)が死んでしまった。
つい先ほどNHKで追悼番組が放送されたが、前後に北の富士の案内があるだけで、中身は貴ノ花引退時のNHK特集の再放送だった。息子の若貴兄弟があれ程不仲では、追悼番組がこのようになるのも仕方あるまい。
観ているうちに、この特集をリアルタイムでも観ていたことを思い出した。巡業での公開稽古の凄まじさや、貴ノ花が茶目っ気たっぷりにカメラに向かってくるシーンなどに覚えがあった。
貴ノ花が優勝した年はまだ小学生だったが、北の湖との優勝決定戦の時には食事の手を休めてテレビに釘付けとなっていた。(ということは、あの頃は、午後6時前から家族で夕食をとっていたのだなあ。)
確か、二度目の優勝の後の綱獲り場所の初日、立ち合いに突っ込みすぎて、はたき込みであっさり破れたことが今でも悔しくてならない。あの一番をうまく勝っていたら、もしかしたら横綱になっていたかも、と当時は思っていたものだ。(相手は若の海だったか、北瀬海だったか)
懐かしい力士との勝負を観ていると思い出は尽きない。共に関脇時代の輪島との水入り大相撲は今観ても凄い。北の湖はやっぱり憎らしい体つきだ。
番組は、貴ノ花の引退を70年代の終焉と結び付けて語っていたが、確かにそうだったと思う。
80年に入り、長嶋は解任され、ジョン・レノンは暗殺され、貴ノ花は引退した。(貴ノ花の引退は81年1月だが)
自分のヒーロー達が次々と消えていった頃でもあったのだ。(猪木だけが今でも健在だ・・・。)