十一月歌舞伎座・昼の部 二回目

kenboutei2008-11-21

今月二回目の歌舞伎座昼の部。今日は歌舞伎初体験の人と一緒の観劇。前回よりも、眠気も起こらず、さらに面白く観れたのは、そのせいだったかも。
『三五大切』今日の仁左衛門は、前に観た時よりも、武士の部分が強く出ていた。今日、改めて気がついたのだが、源五兵衛は、最初の五人斬りの時は、小万に裏切られただけでなく、百両を失ったことで討入りに加われないという絶望が、大きな動機であったと思う。しかしその後、百両は手元に戻り、殺人の容疑は八右衛門が身替わりとなったので、このまま行くと討入りに加わることができたはずなのに、あえて小万と三五を殺しに行く。それは結局、小万への思いがそれだけ強かったということなのだろう。仁左衛門の小万の首に対する扱い方で、そのことがよく理解できた。(コクーンで観た当時の勘九郎は、切り取った首をブラブラさせて雨の中を歩いていたように記憶している。それはそれで、異様な雰囲気があり良かったのだが。)あれだけ、首を大切に扱っていたとは(首への偏愛と言っても良い)、前に観た時は見落としていた。
時蔵の小万は、前回同様、源五兵衛への愛情がほとんどないのだが、この芝居の流れでは、それが納得できる。
菊五郎の三五郎は、役を自分の方に持ってきたようで、自在な演技。
今日は会場にテレビカメラが入っていたせいか、どの役者もきっちりと芝居していた。
『吉田屋』前回はほとんど寝ていたのだが、今日は、藤十郎のぽってりと柔らかい身のこなしを、充分堪能。非常に良かった。禿が来て、煙草盆を持って行く場面があるのは、今日初めて知った。
 
芝居は生き物、観ている方も生き物で、やはりその日その日で、感じ方は随分違うものだ。同じ芝居でも、何度も観るに越したことはないなあ。(そんなに時間も金もないので、無理だけど。)