『折鶴お千』

kenboutei2007-09-16

引き続き、『折鶴お千』。
山田五十鈴はまだ十七歳だが、悪党一味に囲われ、美人局などさせられる情婦を演じ、それが全然違和感がない。ラストの、剃刀をくわえた狂気の眼差しは、恐ろしいほどであった。
学生の学費を女性が稼ぐというのは、『滝の白糸』と同じで、この二本を立て続けに観ると、当時の日本は、そういう国なのかと勘違いしそうである。
売春と窃盗の容疑で捕まった山田五十鈴が、学生役の夏川大二郎(あまり似合っていない)と別れる際に、折鶴を胸元から口で取り出し、忘れ形見に吹き飛ばす。タイトルの由来ともなっているのだろうが、後に気が狂った時に、記憶を呼び戻そうとするギミックにするのかなと思ったが、そうではなかった。(その代わり、剃刀が出てくる。)
この回の弁士は、桜井麻美。まだ若手のようで、二回ほど、かんでいた。