『煉獄エロイカ』

kenboutei2007-08-29

会社帰り、京橋へ直行。
今日は吉田喜重監督の『煉獄エロイカ』。(「エロイカ」って「英雄的」という意味だったのね。もっとエッチな意味合いかと思ってました。)
いつものじいさん、おじさん連中より、いかにも映画マニア風の男性割合の方が多い。
映画の方は、不条理劇というか、前衛映画というか・・・。開始早々、深いため息がそこかしこから出たり、中盤以降はイビキも聞こえるなど、館内の方が「煉獄」状態であった。
日本の革命運動を批判しているとのことだが、まあ、演劇青年や文学青年なら、一度や二度、この手の観念的脚本を書いてみたくなるものなのかもしれない。(脚本は山田正弘、今回の追悼対象者の一人。もう一人は、出演者の武内亨とのことだが、どの役だったのかはさっぱりわからない。)
観ている方は苦痛にしか感じられないものではあったが、映像は、大胆でユニークな構図(実相寺昭雄は、吉田喜重の影響を受けていたのだろうか?)、無国籍風な東京の景色など、実に面白くて、飽きることはなかった。どうせ話の展開にはついていけないのだから、途中からは、モノクロの写真集を眺めているようなつもりで観ていた。
岡田茉莉子が出てくる時だけ、ホッとしたのは、多分自分だけではなかったはずである。(ややぽっちゃりし過ぎていたが、その肉感に惹かれる者も多かろう。)
常連のじいさん、おじさん連中は、さすがに危険な映画を避ける嗅覚がある。

煉獄エロイカ [DVD]

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