『三大怪獣 地球最大の決戦』

kenboutei2007-07-04

どうにも仕事が低調で、気力もわかない。今日は二日酔いのせいもあるが、ほとんど稼働状態になく、定時で帰る。
こういう時は、何も考えず、ただただボーッとしていられる映画を観るに限る。
ということで、ゴジラ・シリーズ。選択は、多分正解。
前作『モス・ゴジ』と同じ昭和39年製作のシリーズ第5作。正月映画ということにもなり、怪獣も俳優陣も豪華キャスト。
スタッフも、本多・円谷・伊福部トリオに関沢新一の脚本と前作と同じで、そのクオリティは相変わらず高い。
特に、関沢新一の、若林映子演じる「自称金星人」を巡るスパイ・アクション風ストーリーを軸に、異常気象や隕石の落下等を絡めつつ、徐々に怪獣バトルへ移行させる筋立てのうまさには、舌を巻く。何しろ、主役ともいえるキングギドラの登場が、1時間近く経ってからであるにもかかわらず、全く飽きさせないのである。
それだけでなく、例えば、国会議事堂内で、怪獣への対応の無策振りを国会議員が責任追及する場面で、防衛大臣が「だったら核兵器を使ってもいいのか」と開き直る皮肉は、決して子供向けに書かれた脚本とは思われない。
一方で、「宇宙超怪獣」キングギドラを倒すために、モスラゴジララドンに協力を求めるという、明らかに子供向けのストーリーは、確かにその後のシリーズの幼稚化への第一歩ではあった。(もっとも、モスラの説得に、聞く耳持たぬという態度のゴジララドンの仕種は、それなりに面白かったが。)
特撮の見事さは、おそらく前作以上ではないだろうか。特に、キングギドラの存在感は、圧倒的であった。
もはや語り草となっている、炎から変身する登場シーンの美しさや、鳥居を手前にしたキングギドラの破壊場面などは、今観ても色褪せない。ビルや日本家屋を光線を吐きながら粉砕していく、暴力的破壊力は、こちらが痛みを覚える程である。
ゴジラが海から初めて現れる場面も、第一作の『ゴジラ』のイメージを踏襲した格好良さだった。
それらに比べると、ラドンの造形は、オリジナルの『ラドン』に比べても、やや粗雑であった。
ザ・ピーナッツの小美人も、前作『モス・ゴジ』に引き続き登場していた。(これが最後だったかな?)
若林映子はエキゾチック。下睫毛が強烈で、顔全体が目のような感じになっていた。
星由里子も、前作より可愛かった。
志村喬も出演している上に、天本英世などの個性的俳優が、ほんの少しのシーンだけに登場する贅沢な使い方。当時の東宝俳優陣の充実振りも伺わせた。中でも、沢村いき雄が何ともいえず、良い。(特典の「東宝俳優名鑑」は、結構重宝する。)



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