『モスラ対ゴジラ』

kenboutei2006-12-03

ひと月ぶりのDVD鑑賞。
いわゆる「モスゴジ」と呼ばれる、シリーズ第4作。
特典映像に、1980年にリバイバル公開された時の短縮版があったが、自分の記憶にあるのは多分こっちの方で、オリジナルは今回初めて観るのかもしれない。
特撮の迫力は、CGを見慣れた今でも圧倒されるし、何より、特撮が本編と見事に融合されて、しっかりと統一性ある作品になっている。
台風の襲来、流されてきた巨大卵、その謎を追う記者と科学者、巨大卵で商売をたくらむ悪人、ゴジラの出現と攻撃、巨大卵をめぐる冒険・・・。
全く隙のない筋立てで、東宝特撮映画の当時の水準の高さを伺わせる。特撮の円谷英二、本編監督の本多猪四郎、そして音楽の伊福部昭という、ゴジラシリーズでの最強で幸福な関係が、まさに最高潮に達した作品であったのだということが、実感されるのであった。加えて、関沢新一脚本の勝利でもある。
ゴジラの、これ以降正義の味方となったものとは異なる造形とパフォーマンス、モスラの成虫のスケールの大きさと、幼虫のリアリティ、激しく徹底的な自衛隊ゴジラ攻撃、逃げ惑う人々と重厚に破壊される名古屋城やコンビナートなどなど、どれをとっても一級品であり、文句のつけようがない。自分の中では、(まだ観ていない作品もあるのだが、)ゴジラの「対決シリーズ」の中での最高傑作である。
新聞記者の宝田明をはじめ、星由里子、小泉博ら東宝俳優陣も安定度抜群。藤木悠のおとぼけ具合も実に楽しいし、佐原健二の悪役ぶりも貴重である。また、田島義文(ハッピー興行の社長)の熱演も嬉しい。
とにかく、単に特撮怪獣映画というだけではなく、当時の東宝プログラム・ピクチャーの面白さを充分に堪能できる作品であった。要するに、大人が充分楽しめる作品なのである。(反核やマスコミのあり方なども織り込んでいるが、それがストーリーに自然に溶け込み、変なプロパガンダになっていないところも評価できる。)
特典映像の短縮版はともかく、「モスラ アタック東京」という絵本の紹介は、コメントのしようがない。