5月文楽 燕三襲名、簑助の深雪

kenboutei2006-05-28

燕二郎の燕三襲名で盛況の千秋楽。一部・二部を通しで観る。
『寿柱立万歳』に続き、燕三襲名披露の演目は、『逆櫓』。大夫は咲大夫。
派手な曲で襲名には相応しかったと思うが、感銘を受ける程ではなかった。
演奏前に、床の上から、住大夫が口上を述べる。鶴澤のさらに大きな名跡も継げるようになれれば、と言っていたが、これは清六のことなんだろうな。
『酒屋』『蝶の道行』は、ほぼ熟睡。
ぼんやりしているうちに、一部は終わってしまった。
二部は、千本桜から。『すしや』を住大夫が語るが、これも退屈でうとうとしてしまった。
今日は眠りに来ただけか、と思ったところで、最後の『生写朝顔話』の簑助の深雪に、すっかり眠気も覚め、心を奪われた。
最初の出で、盲目の深雪が、杖をつきながら、やや顔を斜め上にして、そろそろと歩いてくるところから、もう簑助ワールド全開で、簑助の深雪を観ているうちに終わってしまったという感じ。
復帰からだいぶ日もたち、今では大病前と変わらぬ活躍の簑助ではあるが、今日の深雪は、自分が観てきた過去の簑助の役の中でも、絶品といえるものではなかったかと思う。
今日はこれだけで、充分満足であった。(襲名の燕三には悪いが)
せっかくの朝顔話なのに、勘十郎の「笑い薬」が観られなかったのは残念。(そういえば、東京では、勘十郎を襲名してからは、祐仙をやっていないのではないだろうか。)