『丹下左膳餘話 百萬兩の壺』

kenboutei2006-02-01

前進座絡みで山中貞雄の2本の映画を観終わり、残りの一本。
他の2作に比べて、より喜劇調で、キャラクターが生き生きしている。
大河内傳次郎丹下左膳の軽やかな動きと、独特の台詞廻しに魅了された。
こけ猿の壺を求める殿様役の沢村国太郎が面白い。彼の妹が沢村貞子で、弟が加東大介、息子二人が長門洋之と津川雅彦であるということは、知らないわけではなかったが、今回、ようやく実感として理解できた。
喜代三の三味線語りの艶かしさ、深水藤子の可愛らしさも、申し分ない。
現存する山中作品の中では一番好きだ。(どれも素晴らしいのはもちろんだが。)
それにしても、山中監督の作品が20数本のうちたった3本しか残っていないのなら、いったい、過去の日本映画で失われた作品は何本になるのだろうか。