12月若手公演『一谷嫩軍記』

引き続き本公演。今回は一谷嫩軍記の半通し。
「組討」の松香大夫が熱演。ともすると音程が外れがちになる大夫だが、今日は良かったと思う。
更に充実していたのが「陣屋」。千歳大夫、文字久大夫と分けて語っていたが、共に気合いが入っており、聴いていて心地良かった。特に文字久には、こういう時代物を語るイメージがなかったので、後半だけとはいえ、破綻なく語りきったのは立派。ただ、一つ一つの節を丁寧に語ることに意識を集中しているためか、節と節の間があき、少しテンポが遅くなっていた。せっかく首実検の「言上す」のところで手がきていたのに、息が続かず、拍手をただ聴いているような間が生じてしまった。
とにかくも、着実に次代を担う大夫が育ってきていることを実感できた舞台だったと思う。